いかに観客を楽しませるエンターテインメント作品を創作できるかに着目し、ダンスにおけるコレオグラファー(振付師)としての実力を競うコンテスト「Legend Tokyo」(レジェンド トーキョー)。6回目となる今年は12日、本戦に先がけて学生部門のコンテストが行われ、特別ゲストとして2011年の第1回大会で初代王者となった〝ファースト・レジェンド〟の「DAZZLE」(ダズル)が登場しました。振り付けや構成はもちろん、音楽、照明、衣装などあらゆる要素において完成度の高いパフォーマンスで、観客を魅了しました。
DAZZLEが披露したのは今年2月に初演した作品「CHIMERA」(キメラ)です。CHIMERAとは、同一個体の中に遺伝子型の違う組織が共存する現象のことで、ライオンの頭、ヘビの尾、ヤギの胴体を持つギリシャ神話の怪獣「キマイラ」が語源となっています。つまり、普通と違った妖しい姿をした「異形」(いぎょう)のものを表します。

「CHIMERA」(キメラ)を披露するダンスグループ「DAZZLE」


上演する度に少しずつ修正を加えてより完成された「CHIMERA」
DAZZLEを主宰する演出家・振付師の長谷川達也さんは「いろいろなダンスジャンルの要素を取り入れて進化してきたDAZZLEは、まさにストリートダンス界の〝異形〟そのもの」と話します。CHIMERAでは、黒と赤という対照的な色を衣装や照明に象徴的に採用して、CHIMERAという異形のキャラクターが受け入れられない世界を表現するとともに、実はこの世は異形に満ちたものではないかと訴えかけました。
今年結成20周年を迎えたDAZZLEは、9年前の2007年に初めて舞台公演を行うなど、早くから舞台に着目した作品作りを行ってきました。ナレーションや字幕を効果的に駆使するほか、机や椅子、障子などの小道具を用いて視覚的な効果をもたらすパフォーマンスとストーリー性のある演劇のような舞台作品を多く生み出してきました。今でこそ多くのダンスカンパニーが舞台作品を手がけるようになりましたが、彼らこそパイオニアであり、なるべきしてなった〝ファースト・レジェンド〟なのです。
長谷川さんは「どんな人が見ても面白いと思ってもらえるダンスグループでありたいと思い続けてやってきました。それが舞台であり、演劇的なことなのです」と話します。
ある男子学生は上演中から「すごい」を連発。演技が終わると「これがレジェンドで勝つということなんだ」と感動を言葉にしていました。まさしく、初代王者の圧倒的な世界と実力を見せつけた圧巻のステージでした。

DAZZLEを主宰する長谷川達也さん

赤と黒という対照的な色合いをモチーフに世界観を表現した作品「CHIMERA」

作品の中で黒は異形、CHIMARAを表す?
13、14の両日行われた「Legend Tokyo」本選では、22組の出展者の中から「ENcounter ENgravers」が第6回最優秀賞(レジェンド)を受賞しました。