7カ国26組のアーティストのさまざまなマスクが楽しめる「DIESEL ART GALLERY」=東京都渋谷区渋谷(写真・田中幸美)

《渋谷》DIESELのアートギャラリーで仮面を集めた「MASKS」展


 若者を中心に人気のプレミアム・カジュアル・ブランド「DIESEL」が手がける東京・渋谷のギャラリー「DIESEL ART GALLERY」でマスク(仮面)をテーマにした作品展「MASKS」が開催されています。日本をはじめシンガポールやインドネシアなどアジア7カ国の26組の尖鋭的なアーティストによる立体作品やイラストレーション、工芸など個性豊かなマスクが集められています。
 この展示会は、シンガポールを拠点にアジア内外のアート作品をフリーマガジンやギャラリーなどで紹介するクリエーティブ・ディレクターのスティーブ・ローラーさんとキュレーターのザラニさんからなるユニット「Kult」(カルト)が発案。アジアのすぐれたクリエイターのマネジメントやイベントの企画運営などをする「亜洲中西屋」の中西多香さん、大輔さん夫妻にスティーブさんが話を持ちかけて、両者の共同キュレーションによって実現しました。

クリエイターのマネジメントやイベントの企画運営などをする「亜洲中西屋」の中西多香さん(右)、大輔さん夫妻。2人の間にあるのがメーンビジュアルにもなっている「kittozutto」(キットズット・©kittozutto)の作品(写真 田中幸美)


 幾世紀にもわたる長い歴史の中で「MASK=仮面」は物語を語る道具でした。また、祭祀(さいし)や演劇、仮装などさまざまなシーンにおいて、人は仮面を用いることで変身したり逃避したりできたのです。多香さんは「マスクは顔であり、もう1つのパーソナリティー。演出したり外部からの見え方を自分で変えたりするものです」と話します。
 出展作品はいずれも新作です。昨夏、企画が持ち上がり、スティーブさんが構築する約1000人にも上るアジアのアーティストのネットワークから人選を行い、今年に入ってから作家に作品を依頼したそうです。それぞれの作品の進捗状況はメールやSNSで写真を送ってもらうなどして報告を受けていましたが、大きさや素材などについては作品が東京に到着して初めて知ることもあったそう。
 来場者に好評なのは、女子美術大学に在学中の21歳の立川玲音奈さんが制作した仮面。社会・文化・教育的な観点から新しいファッションの役割を提唱する異色のデザイナー、山縣良和さんが展開するブランド「writtenafterwards」(リトゥンアフターワーズ)の2016年秋冬コレクションのために山縣さんとコラボレーションした作品で、実際にショーでモデルが被ってランウェイを歩いたそうです。このときのブランドのテーマは「gege」で、妖怪をモチーフにしました。新作ではありませんが、アート作品としてのお披露目は初めてです。大輔さんは「山縣さんがマスクというコンセプトで何を出してくるか興味があって」と話します。

 また、インドネシア・スラカルタにある国立芸術大学に1年間学び、その後引っ越したバリ島を拠点にさまざまな創作活動を行う高屋佳乃子(かのこ)さんの創作のメーンテーマは、そのものずばりの「仮面」です。母、直子さんがアジア雑貨を日本に仕入れる仕事をしていたため、幼少期から母に連れられてインドネシアを訪れたといいます。そして、インドネシアの島々に伝わるユニークは仮面に出会い、虜になりました。今回出展している5つの仮面は、初めて制作したものだそう。ヒートガンという機械でアクリル板を熱して、曲げたりくねったりして表情にリズム感を出してからペインティングしたそうです。
 立川さんと高屋さんについては、中西さんらが選んで出展者に加えたそうです。


立川玲音奈さんがデザイナーの山縣良和さんと共同制作した仮面。ショーではこれをモデルが実際に被ってランウェイを歩いたといいます。©RenaTatekawa(写真 田中幸美)


仮面をメーンにインドネシアで創作活動を行っている高屋佳乃子さんの作品。©KanokoTakaya(写真 田中幸美)


 さらに中西さんらにとって感慨深いのは、今展示会のメーンビジュアルにもなっている「kittozutto」(キットズット)の作品。シンガポールのジュンさんとヤナさんという女性のカップルによる共同制作です。2人はアーティスティックな作品とは異なるデジタル作品も「BÜRO UFHO 」(ビューローユーエフエイチオー)のユニット名で手がけており、今回もエッジのきいたデザインと精緻なイラストレーションを用いたグラフィックを出展しています。
 また、スティーブさんは「Mojoko」という名でアーティスト活動もしており、この展示会にも「Mirror Man」という作品を出しています。
 「DIESEL ART GALLERY」は、渋谷・明治通り沿いにある大型コンセプトストア「DIESEL SHIBUYA」」の地下1階にあります。ギャラリーでは世界中からさまざまなジャンルのアーティストを招いて年4回のアート展を開催しています。秋冬の最先端のファッション散策をしながら、アートにも触れ合うことのできるすてきなスポットです。

「Mojoko」という名でアーティスト活動もしているスティーブさんの作品。正面に立つと自分の顔が映り込みます©Mojoko(写真 田中幸美)


◆「MASKS」は、東京都渋谷区渋谷1-23-16cocoti 地下1階の「DIESEL ART GALLERY」で11月11日(金)まで。午前11時30分~午後9時、入場無料。問い合わせは☎03・6427・5955まで。
公式ホームページは https://www.diesel.co.jp/art/



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