『土のコレクション』(栗田宏一)

【絵本に再び出会う】「土のコレクション」 見る目が変化する

, コラム

 壊れない泥団子を作るとき、「サラサラお粉」がほしいとき、高い山を作るとき、子供たちは幼稚園の庭のどこに行き、どの土を使えば良いかを知っています。園庭には色々な種類の土があることがわかっていて、用途に合わせて選んでいるのです。手や素足の感触や目で見た様態で、その違いを知っていきます。子供にとって、土は最も身近な探求物かもしれません。そんな子供たちが目を見張り、身近な土に興味や関心を広げる本があります。

 平成16年にフレーベル館から刊行された『土のコレクション』(栗田宏一)は、著者が日本全国を駆け巡って集めた土が、日本地図の上に写真で置かれ示されます。並べてみると、色や粒の大きさや質感の違いに驚かされ、何よりも、土がこんなにも多様で美しいことに気付かされます。

 地図を見た子供たちは、自分の住む場所とともに、おじいちゃんやおばあちゃんの住む都道府県の土に関心を持ちました。土で紙を染めたり、絵の具やクレヨンができたりすることに驚きました。土にはなぜ、こんなにも沢山の色がある? 土ってそもそも何だろう? 砂や石との違いは? 私たちが踏みしめている大地の不思議さに、子供だけでなく大人も気づくことができます。

 ある地方の保育園で、この本を見た子供たちは「おじいちゃんの家の近くの土」「〇〇のおじさんの畑の土」「〇〇ちゃんの庭の土」と身近な場所から土を集めて持ってきて、ペットボトルに入れて並べていきました。そして、その土で泥団子を作り、どれが一番硬くなるか試しました。できあがった泥団子の色の違いも面白がりました。

 そこには、子供たちの「探究する」姿があります。絵本をきっかけに、子供たちの土を見る目は明らかに変化していきました。それは自分と土との関係を広げ、土との関わり方を作りかえていったのです。つまり、土をより「よく」知ること。そこに「学び」が生まれているのです。(国立音楽大教授・同付属幼稚園長 林浩子)


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