【Fem Care Project 推進パートナー】
一般社団法人 女性の健康推進協会 代表 濵脇文子
厚生労働省が発表した簡易生命表によると、2020年の日本人の平均寿命は女性が87,74歳、男性が81,64歳となり、ともに過去最高を更新しました。WHOが発表した2021年版の世界保健統計(World Health Statistics)によると、日本は女性の平均寿命が最も長い国(男性は第2位)、自他ともに認める長寿国で、人生100年時代は目前です。
ところで、皆さんは「健康寿命」という言葉をご存知でしょうか。WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間のことで、簡単にいうと日常生活を制限されることなく健康に過ごせる期間のことをいいます。つまり、平均寿命と健康寿命の差は、日常生活に制限のある「健康ではない期間」ということになります。日本では、この健康寿命と平均寿命の差が女性では、12.35歳(2016年厚生労働省科学研究)です。この差を、皆さんはどう考えますか。
女性の健康を考えるためには、まず女性ホルモンを知ることが大切です。女性ホルモンとの付き合いは、思春期からはじまり性成熟期、更年期と続く約40年間、人生の半分くらいのお付き合いです。しかし、その40年の中には、女性は沢山のライフイベントとライフコースが用意されています。
女性ホルモンにより、女性は2つの波にのることになります。一つは、月経や排卵を起こす毎月の波、そして、もう一つは、第二次性徴を迎え月経がはじまり、性成熟期を経て更年期を迎える一生をかけて乗る波です。さざ波から大波まで、波ですから何らかしら揺さぶられこころと身体に様々な影響を与えます。ですから、いつも元気である必要はないし、いつも頑張る必要はなく、体調が崩れるのは身体が正直である証拠でもあります。また、この波は、個体差も大きく、他の人と比較するべきものでもありません。自分ではない誰かほかの人の話ではなく、自分自身の物語を紡いでいくためには、自分自身のこころと身体と向き合い、答えのない問いやモデルのない生き方に挑んでいくための智慧と戦略が必要です。
例えば、情報過多社会において、その波にのるためのヘルスリテラシー(自分にあった健康情報を探して、理解し、評価した上で使える力)。まずは、厚生労働省や研究機関などの公的機関が発信する情報をチェックしましょう。情報にたくさん触れて、リテラシーを養うことが大切です。たとえ“医療の専門家監修”とあっても一サイトに掲載された情報をうのみにせず(この記事もです!)、複数の意見を確認しましょう。何度かチェックしているうちに、あのサイトではこう言っていたけど、ほとんどのところでは違う意見を言っているなどと違和感に気づけるはずです。
知識を得ることも大切ですが、それ以上に自分自身の身体の特徴を知ることはもっと大切です。女性の身体はとても正直ですから、頑張りすぎると月経が遅れたり吹き出物が出たりと、いろんなサインを発してくれます。皆さんは、そのサインをしっかりキャッチ出来ていますか。
100年付き合う大切なこころと身体なのに、私たちは自分たちの身体のことについて既存の教育で学ぶ機会はほとんどありません。ならば、ここで、みんなで学んでいこうではないですか。自分のこころと身体の特徴を知り、早めにケアをしてあげる。自分自身が、自分の一番の健康の専門家になりましょう。
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【Fem Care Project 推進パートナー】
一般社団法人 女性の健康推進協会(ジョセケン)
2020年に設立された一般社団法人女性の健康推進協会(ジョセケン)が掲げるミッションは、「女性たちの心身や環境を想像(ソウゾウ)し、より良い健康を創造(ソウゾウ)する」こと。ジョセケンには、約300名の助産師が所属し、妊娠・出産・子育て支援のみならず、女性の生涯の健康の支援者として、働き方などを新しく見つめ直し、現代女性に寄り添いながらサポートすべく企業でのセミナー開催や、SNSでの発信などを行っている。
https://wha.jp.net/joseken
代表理事 濵脇文子
助産師・看護師・保健師資格を持ち、ジョセケンの初代代表理事に就任。現在、お産や子育ての喜怒哀楽を、楽しく伝えるべく「お産楽語」にもチャレンジ中