《更年期入門 vol.3》日本は更年期治療の途上国? 欧米諸国と日本の更年期の過ごし方の違い

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TRULY CEO 二宮 未摩子

最近ではフェムテックからはじまり、更年期(メノポーズ)に特化した「メノテック」という言葉も出てくるほど、社会全体で男女ともにある「更年期」を支え、受け入れようというムーブメントが日本でも徐々に始まってきています。

しかし、更年期は今になって発見されたことではなく、誰もが通るある一定の時期として昔から存在していたもの。それにも関わらず注目され始めたのがようやくここ数年、というのが日本の現状です。 最近急に取り上げられて始めた更年期のこと。日本と比べて海外ではどのように受け止められ、どこまで進んでいるのでしょうか。

今回は日本と欧米諸国での更年期の捉え方や、過ごし方について比較していきたいと思います。

日本の更年期のホルモン補充療法普及率は欧米に比べて圧倒的に低い

日本では現在、生理休暇、不妊治療など、女性ホルモンや妊娠、出産にまつわる不調、悩みなどがかなりオープンになり制度も整ってきているように見えます。それらに比べると、更年期に関しては、サポートや制度などが整っているとはまだまだ言えない状況です。でも最近では更年期に関する情報源も増え、つらい症状を我慢せず治療や対処する方法があることが少しずつ知られるようになってきています。

更年期症状に対しての代表的な治療の一つが「ホルモン補充療法(HRT)」ですが、日本でホルモン補充療法の普及率はどのくらいなのでしょうか。

少し古いデータ※にはなりますが、閉経後の女性のホルモン補充療法(HRT)の普及率は、欧米諸国の30〜40%であるのに対し、日本は2%未満となっています。先進国の中で圧倒的に低い割合です。さらにこの割合は近年においても大きく変化はしていないとも言われています。 欧米諸国ではホルモン補充療法が更年期症状へのスタンダードな治療となっていますが、日本では知識と理解が進んでいないことが見受けられますね。 ところで、ホルモン補充療法について、皆さんどこまで知っていますか

※参考資料:V.lundberg et al, Maturitas48(2004)39-49

ホルモン補充療法について

更年期世代には様々な不調が現れることがありますが、症状が更年期によるものだとなれば、婦人科では、治療の選択肢の一つとして、ホルモン補充療法が検討されます。だいたい40代前半から分泌にゆらぎが生じ、減少する女性ホルモンを外から補充し、症状を穏やかに緩和する治療です。日本ではホルモン補充療法の副作用が取り上げられることもありますが、現在はホルモン補充療法の使用によって乳がんを発症するリスクは少ないと考えられています。ただし、健康診断とがん検診を定期的に受けることを覚えておきましょう。

欧米諸国と日本の更年期に対する意識の違い

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例えばアメリカでは1991年頃にすでにWHI(Woman’s Health Initiative)という一般閉経女性を対象としたホルモン補充療法の大規模前向き臨床試験 が行われており、すでに30年以上前から女性のホルモン療法について向き合い始めています。

欧米諸国にいるTRULYの読者や関係者の声を集めてみましたのでご紹介します。

【アメリカ】

TRULY世代のアメリカに住んでいる読者の方によれば、更年期の治療には多くの選択肢があり対処が可能であるという知識を持っている人が多く、日本よりもオープンとのこと。またアプリをはじめ、更年期の治療の中でもメンタルケアがかなり充実しているそうです。更年期の治療に関しての歴史がある上に、さらに先に進んでいるようですね。

【イギリス】

イギリスでもこれまでの日本と同様に、更年期はオープンに語るものではなく、むしろタブーであり、隠すものであるという風潮があったようです。しかし、2021年にはイギリスの議会で更年期対策を盛り込んだ法案の審議が行われるなど、更年期に苦しむ女性に光を当てる動きが始まったそう。日本と同じような時期にイギリスでも更年期への注目が高まってきていていることを感じます。

【オランダ】

オランダでは、ここ数年で急激に更年期に対する意識が変わってきているそうです。病気なのかなんなのかわからなかった更年期の症状の原因が解明され、我慢したり隠したりするのではなく受け止めて対処する、というムードに変わってきているそうです。まるで将来の日本を見ているようですね。

もちろん個人差はありますが、日本では正しい知識や治療法が認識され始めたのがまだ最近の話で、欧米のレベルには追いついていないようです。 更年期への意識や治療に関しては途上国かもしれませんね。しかしたとえ今フェムテック先進国の欧米でさえも元々はそこまでオープンなものではなく、まだ意識の改革が必要であるというところも垣間見えます。

更年期をオープンにし始めたセレブリティ達

今、多くの更年期世代のセレブリティたちが更年期を受け止め、自分たちから積極的に発信をし始めています。

· グウィネス・パルトロウ · アンジェリーナ・ジェリー · エマ・トンプソン などなど

世界的に有名なセレブリティたちが自身のSNSなどで、更年期をオープンに発信し始めました。

女優やセレブリティと更年期は、これまでのイメージとはかけ離れたもので、むしろ決してイメージさせてはいけない、そんな雰囲気さえありました。 しかし、世界的にも有名なセレブリティたちがあえて声をあげて更年期をオープンにしていく姿には、やはりまだ社会の中で、いえそれだけではなく女性自身の中でさえもまだポジティブに受け入れられていない「更年期」の現実が見えてきます。同時に、世界中の更年期世代の女性達に、更年期はどんな女性にも訪れ、声をあげていいことなんだ、という勇気を与えてくれますね。


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