女性のココロとカラダのケアを考え、よりよい未来につなげる「Fem Care Project」。本誌編集長・日下紗代子が、さまざまな人にお話を聞きながら、女性の健康課題や働き方について考えていきます。
いつも「フェムトーク」を読んでくださる皆様へ。うれしいご報告です。3月8日の「国際女性デー」に産経新聞に掲載した「知るって、やさしい一歩!」と、昨年6月20日に掲載した「折り合う。分かり合える。」が、第44回日本新聞協会の新聞広告賞を受賞しました。日本新聞協会とは、全国の新聞社・通信社・放送局が加盟する組織です。流通の2024年問題や、地元紙特有の地域活性をテーマにした広告などさまざまなテーマが並ぶなか、メトロポリターナが推進する「フェムケアプロジェクト」が掲載した新聞広告が、大きく着目されたのです。報道や言論の世界における、女性の健康課題や働き方に向き合うことへの、媒体の枠組みを超えた一歩ともいえます。それもひとえにこの連載を読み続けてくださる読者の皆様の後押しがあってのこと。勝手ながら、この記事を読んでくださっている皆様といまおひとりおひとりと、握手させていただいている気持ちです。継続は力なり。ありがとうございます。
そして、もうひとつうれしい出来事がありました。「知るって、やさしい一歩!」の記事で紹介したフェムテック認定資格にチャレンジされた、大学職員・図書館勤務の30代男性、夏目慎也さんに、先日お話を聞く機会がありました。夏目さんは、3月8日のミモザカラーをあしらったラッピング紙面をみて、フェムテック認定資格3級(WEBで5分でできる15問のクイズ)にトライしてすぐ、4月には2級、7月に1級合格と、わずか5カ月で「フェムテックシニアエキスパート」の資格を保有するに至りました。その勢いは、いずこから? どうしてもご本人にお会いしたく、日本フェムテック協会のご協力でつないでいただいたのです。
「国際女性デーのことは知っていました。図書館では新聞各紙を閲覧できますが、3月8日にカラフルな新聞(国際女性デーのシンボルカラーである黄色い新聞)を見て、あ、今日だった! と思ったんです。休憩時間にすぐさま、記事に載っていた日本フェムテック協会のフェムテック認定資格3級の二次元コードにアクセスしました」。夏目さんは、1回で合格できたものの「思ったより難しいぞ、と思いました。医学的な知識も必要で、とくに女性の健康面については知っているようで知らないことがたくさんあることを実感しました。(職場には女性も多く)もっと知りたい、という思いで1級まで駆け抜けました」。1級は、個人のフェムテックに対する問題意識を論文にして発表する課題があります。「ハードルはありましたが、大学職員として、学生の前でガイダンスをすることもあります。論文の執筆やプレゼンの大変さを知っておくことは職業柄、役に立つはずだと思って、スキルアップのためにもチャレンジしました」。その動機のみならず、夏目さんが取り組んだテーマがまたすごいのです。「ある雑誌で『フェムテック』の特集をしていたのをたまたま図書館で見つけました。読んでみると意外にも、批判的な側面についての言及が多くされていました。自分としては、フェムテックの勉強を続ける過程で、知れば知るほど、その有用性を感じ、素晴らしい概念だと思っていただけに、『だれのためのフェムテックなのか』に対してちゃんと考えてみたいと思ったんです」。
そんな夏目さんは、「(あのとき産経新聞のラッピング紙面をみて)新聞社の本気度を感じました。僕も、せっかく取得した資格を何かにいかしたいと思っています」と笑顔で話をしてくれました。いまではこの話をきいた学生のひとりが、フェムテックに関する卒論に挑戦しているそうです。知ることの大切さの輪が、確実にじわりじわりと広がっている。その言葉からまた力をいただいた気がします。
実は、私たちも少しずつ“変化”しています。フェムケアプロジェクトの一環で、産経新聞社内でもフェムテック認定資格3級にチャレンジし、2022年には、新任の管理職向けに「生理研修」も導入しました。そして先日、実際に認定資格や研修を受けた複数の男性社員の声をもとに広告を制作。10月20日の「新聞広告の日」に掲載しました。「記者にとっても、生理の現場は想像以上でした。」私たち自身のリアルな“現在地”とともに、相手を知るきっかけや話し合える機会を自分たちの会社にもつくりたい。そんな小さな決意を表現しています。ヒアリングの過程では、ある記者は「すぐ大きな変化があるわけではないけれど知れてよかった」「時代とともに変化は必要」とも。お話を聞いて、そんなふうに考えていたんだ!と思わずうれしくなる思いを知る機会にもなりました。まさに「知るって、やさしい一歩!」。聞いてみないとわからないものだと実感します。自分自身だけでなく、周囲の、ひとつひとつの小さな変化を大切に、これからも歩みを進めていきたいと思うできごとでした。
10月20日の「新聞広告の日」産経新聞に掲載したフェムケアプロジェクトの新聞広告。
新聞広告の詳細はこちら
https://metropolitana.tokyo/page_forbidden
1級取得した夏目慎也さん
フェムテック認定資格
3級へのチャレンジはこちらから!
https://j-femtech.com/femcare-l/certificate/l3/metropolitana

メトロポリターナ編集長
日下紗代子
小さな変化が原動力!
Fem Care Project
「フェムケアプロジェクト」は、産経新聞社が主催する、女性の心と身体の「ケア」を考え、よりよい未来につなげるプロジェクト。女性特有の健康課題や働き方について情報発信をしながら考えていく。