ヨーコ先生:そうでしょう。10月に「改正電気通信事業法」が施行されて、これまで1万円近くもしていた定期契約や最低利用期間契約の違約金が上限1000円と定められるなど大手キャリアから格安SIMはもちろん、格安SIM間の乗り換えのハードルは下がったわ。これまで端末と通信契約はセットが当たり前だったのが、それぞれ自由に選べる時代になっていくのよ。
★格安SIMの魅力は「安さ」より「自由度」!
ひよ子 :うーん……。でも…。
ヨーコ先生:どうしたの?
ひよ子 :本当に格安SIMにしたら、誰でも必ず安くなるんですか?
ヨーコ先生:そうね、安くなる人が多い、が正解ね。
ひよ子 :安くならないこともあるんですか。
ヨーコ先生:格安、格安、と安さばかりが話題になっているけど、格安SIMの一番の魅力は、安さよりも「自由度」だと、私は思うわ。
ひよ子 :自由…というと?
ヨーコ先生:たとえばひよ子ちゃんは、毎月自分がどのくらい通話して、どのくらいのデータ容量を使っているか把握している?
ひよ子 :…いえ、あんまり…。
ヨーコ先生:たくさん使った月もあれば、あまり使わない月もある。にも関わらず、毎月同じ金額を払っていない?
ひよ子 :その通りです…。
ヨーコ先生:そんなお金の払い方って不思議だと思わない? 電気代もガス代も、毎月上下するでしょう。
ひよ子 :確かに……。
ヨーコ先生:大手キャリアと格安SIMの料金プランの違いを、たとえば「毎月データ容量5GB、音声通話を1日1回2分程度、月に1時間程度使う人」が契約すると仮定して、比較してみるわね。
ひよ子 :ごく一般的な使い方をしている人ですね。
ヨーコ先生:大手キャリアでよくあるのが、データ容量に応じて月額料金が増減するプランと、30~50GBの大容量のデータが定額で使えるプランの2種類。5GBだとだいたい月額が増減するプランから選ぶことになって利用料金は5~7千円。さらに通話定額オプションを付ければ500~1700円上乗せになって、最終的には約6500~9000円になるわ。
ひよ子 :CMや広告で、月額1980円とか聞くけど、あまりデータ通信をしない人のケースなのかしら。
ヨーコ先生:それもあるけど、大手キャリアに多いのが、「光セット割」や「家族割」といった条件付きの割引や、期限付きの割引が適用されるのよ。条件によって500円程度から多ければ4000円ほど安くなることもあるんだけど、とくに期限付きの割引は注意が必要で、うっかり月額料金が上がっていた、なんてよくあるパターンよね。
ひよ子 :なんだかちょっとお得な気分になっちゃうんですけどね。
ヨーコ先生:さらによくあるのが「大容量プランの方がお得」というセールスね。たとえばソフトバンクの月額料金増減タイプのプランは、1GB、2GB、5GB、5GB超の4段階あって、5GBだと月額7480円。ところが、大容量定額プランでは、同じ値段で50GBまで使えるうえにLINEやインスタグラムなど対象の動画やSNSサービスのデータ通信が消費されないのよ。ソフトバンクでは2GB以上使う人には、大容量定額プランを勧めているわ。
ひよ子 :お得なのはわかるけど、なんだかもったいない気もしますね。
ヨーコ先生:一方、格安SIMの場合を見てみましょう。データ容量に応じて月額料金が決まっていて、通話などのオプションを上乗せするんだけど、料金設定が5~6段階と細かいことが多いわ。たとえば、LINEモバイルは1GB、3GB、5GB、7GB、10GBの5段階。5GBなら月額2220円で10分電話かけ放題オプション(880円)を付けても3千円ちょっと。だいたい大手キャリアの半額以下になるわね。
ひよ子 :安いうえに、シンプルでわかりやすいですね。家族割などはないんですか?
ヨーコ先生:ないところが多いわ。その代わり、ソフトバンクのような特定サービスのデータ通信量をカウントフリーにするサービスなど独自のオプションや、データ容量節約アプリなどを用意しているところもあって、提供会社の独自性が高いのよ。
ひよ子 :自分の使い方に合った会社を選べば、通信料が節約できるってことですね。
ヨーコ先生:そういうことね。通信料は毎月決まって支出する固定費の一角。毎月1万円近く払っている人も少なくないと思うわ。通信料が毎月1000円でも下がれば、1年で1万2千円。固定費を見直すことは、家計改善にもつながるのよ。
ひよ子 :節約したお金で、自分用のクリスマスプレゼントが買えそうですね!
ヨーコ先生:節約したお金をすぐに使っちゃう癖はどうにかならないのかしら、ひよ子ちゃん。
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金融苦手系女子のための連載。お金の計算、節約が苦手なひよ子ちゃんの悩みに、ファイナンシャル・プランナーのヨーコ先生(甲斐洋子)が答えます。
いざ乗り換えようにも、まだまだ難しい「格安SIM」。
来月は、詳しい専門家に2人が話を聞きに行きます。
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ひよ子:都内のメーカー勤務、素敵な男性との出会いを夢見る28歳、典型的な金融苦手系女子。ズボラなうえに数字が苦手で節約や家計簿も続かない。将来の不安に駆られてファイナンシャル・プランナー(FP)の勉強を始めたものの、挫折続き。趣味は映画鑑賞、ウィンドーショッピング、カラオケ。スイーツや流行のスポットも大好き。
ヨーコ先生(甲斐洋子):FPをめざすひよ子ちゃんの先生。フリーアナウンサー兼ファイナンシャル・プランナー(CFP®)。テレビ東京「株式ニュース」キャスターを務め、その後も経済・株式分野を中心に活動。FPとしてセミナー講師、講座の企画、執筆、個別相談なども担当している。趣味はフラメンコ、旅⾏。最近のお気に⼊りは台湾。