金融苦手系女子のための連載第10回。お金の計算、節約が苦手なひよ子ちゃんの悩みを、ファイナンシャル・プランナーのヨーコ先生(甲斐洋子)が解決します。
今月は政府の還元事業で注目されている「キャッシュレス決済」について。ひよ子ちゃんの先輩のきみ子ちゃんは「スマホ決済(ペイアプリ)はなんだか怖いし、何から始めたらいいか、ちんぷんかんぷん」と、ペイアプリの導入にも慎重です。今回もSession3、Session4を振り返りながら、ペイアプリとの付き合い方を学びます。
★〝浮気〟は禁物!? ペイアプリとの付き合い方
ヨーコ先生: Yahoo!とLINEの経営統合がニュースになっていたわね。6月には楽天ペイとSuicaの連携が発表されているし、今回の経営統合でヤフー傘下のペイペイとラインペイがやがて一つのサービスになるとすれば、ペイアプリの勢力図も大きく変化しそうね。
ひよ子 : 今はまだ、群雄割拠でわかりにくいですけど、使えるお店や場所が増えて、ポイントや還元がわかりやすくなるのがユーザーにとっては一番ありがたいですよね。
きみ子 :キャッシュレス〝初心者〟の私には、ペイアプリはもう何が何だかわからないわ。迷っているうちに、どんどん新しいニュースが出てきて、なんだかこのまま取り残されてしまいそう。何でもいいから始めてみるのがいいのかしら。
ひよ子 :焦っているときに、お得なキャンペーンが表示されると、つい始めたくなってしまいますよね。先生、いろいろなペイアプリがありますが、導入すればするほどお得になるものですか?
きみ子 :あら、どうしてですか? お店によって使えるアプリも違うから、たくさん入れて対応できた方がいいんじゃないですか?
ヨーコ先生:ペイアプリの還元は、提携するポイントで行われることが多いのよ。ペイアプリをたくさん入れると貯まるポイントも分散してしまって、管理が難しくなるわ。一つのペイアプリの還元を最大限受けるようにすれば、ポイントも集約できて長い目で見ると得になると思うわ。
きみ子 :還元を最大限受けるってどういうこと?
ヨーコ先生:ペイアプリの高還元キャンペーンが話題だけど、実はペイアプリのお得を最大限引き出すには、「クレジットカードからのチャージ」「ポイントカードの提示ポイント」を組み合わせるのがベストなのよ。クレジットカードからチャージ設定しているペイアプリで決済し、その際にお店のポイントカードを提示すると、ポイントが3重取りできるわ。たとえば、還元率がそれぞれ1.0%のクレジットカードと、0.5%のペイアプリ、0.5%のポイントカードを持っているとすると、キャンペーンがなくても計2.0%の還元率になるのよ。
ひよ子 :それに、ペイアプリにはそれぞれ、より高い還元率になる〝相性の良い〟クレジットカードの組み合わせなどもあるんですよね。ペイアプリをたくさん入れてクレジットカードも増えちゃった、なんてことになると大変です。ペイアプリは〝浮気〟しない方が良さそうですね。
ヨーコ先生:そうね。Session3でも説明したけど、ペイアプリを始めるときにはだいたい、銀行口座やクレジットカード情報を登録したり、本人確認書類を送ったりといったステップがあるの。不正利用や情報漏洩のリスクを考えても、不必要に個人情報を外へ漏らすのは慎むべきよね。
きみ子 :でも、たくさんありすぎて1つに絞るなんて無理だわ。
ヨーコ先生:1つ、と決めなくてもいいわ。ただ、利用シーンと目的をふまえれば、おのずと2つ、多くても3つくらいには絞られるはずよ。
きみ子 :利用シーンと目的を、あらかじめ決めておくのがいいんですね。
ひよ子 :たとえば、食料や生活用品をまとめて買うスーパーやコンビニ、ドラッグストア、あるいは日常の飲食費、交通手段…。よく使うお店で対応しているアプリやポイントを確認したら、だいたい見えてきますよ。
ヨーコ先生:政府の還元事業は来年6月には終了してしまうし、ペイアプリの勢力図も日々変化するから、期間限定の還元率にとらわれず、普段の生活のなかで無理せず長く使い続けられそうなものを選ぶといいわね。あとは、決済手段を、住居費や光熱費などを払うメーンの口座と分けることを忘れないでね。複数ペイアプリを入れるつもりなら、ペイアプリ決済用口座を一つにまとめてしまえば管理しやすいし、リスクにも備えられるわ。