店主(以下店):バイトいも、おつかれさま。そちらは朝ですか?
いも:うん、ロンドンは今朝6時。
店:早起きだな! 最近のそちらのトピックスは何ですか?
いも:住んでる家のトラブル…。年末にマンションの上階から水漏れがあって、で、その修理が来るまで5カ月も待った。
店:日本じゃ考えられない…。水漏れは止まったんだよね?
いも:うん。でも、放置しすぎたからカビが…古い一軒家の人は、ネズミやアリ被害もよく聞くよ。
店:ひゃー!
いも:古い家ほど価値があるから、築100年とかざらにあるしね。
店:雰囲気はいいかもしれないけど管理が大変そうね。最近『ハ.ウ.ス.』って絵本を読んで、世界中の奇想天外な家が紹介されてるんだけど、イギリスにある「crescent house」も載ってたよ。
いも:三日月形! 洒落てる。
店:こんな形なのに、ちゃんと住めるのが面白いよね。ほかにも、壁の代わりに家の外側に巨大なカーテンが付いている家とか、こんな家ありなの!?って家が、ユーモアたっぷりに描かれてます。
いも:こっちはカーテンを付けない家が多くて家の中が丸見えだよ。
店:え!? 見えてていいの!?
いも:うん(笑)。いい意味で、他人の目を気にしない人が多い印象。その土地の風土や文化に合わせていろいろ違うんだろうね。
店:外国で生活してみないとわからないことだから面白いね。それと『家をせおって歩いた』っていう本も読んだよ。美大の建築科を卒業した美術家の村上慧さんという人が、自作の発泡スチロールの家をせおって、ひたすら日本中を歩いた日々の記録です。東日本大震災がきっかけでこの活動を始めたそう。
いも:ひぇー!すごい! でも、震災をきっかけに何か行動をするというのには、すごく共感できる。
店:バイトいもは当時仙台で働いてたもんね。村上さんは、家をなくした人が、失った家のローンを払い続けながら、新しい家のローンも払っているような状況を見て、何かおかしいぞ? って思ったらしい。生活するために家が必要なはずなのに、家賃を払うために働いてないか?って。
いも:あぁ、同じ話、当時聞いたことあったなぁ。
店:村上さんの家は勝手に置くと違法になるから、毎日置き場所を探さなくちゃいけなくて、そのための時間と労力が必要なんだって。でも住む家を持っていればそれがいらないから、安心を得るために家賃を払ってるんだなってことにも、村上さんは気づいたそう。家ってキーワードだけで、いろんなこと考えさせられるね。
いも:本当だね。どっちの本も、今度帰国した時に読ませてほしい。
店:ぜひ。それでまた話し合いたいね。