話しにくいことも、アバターだったら相談しやすい。
産婦人科に行くのは正直ちょっと気が重い。忙しいのもあるけれど、体の悩みは話しにくい。軽い症状なら、つい我慢をしてしまう。でも、その不調は大きな病の兆しかも。女性特有の健康課題は、相談しづらい。
この心理的ハードルを下げるソリューションの実証実験を、助産師ネットワークの「ジョセケン」とアバター相談システムを展開する「BRING」が、昨年夏に開始した。その名も「flat.(フラット)」。アバターで助産師に相談できるオンラインサービスだ。
利用者は、「flat.」のサイトから利用日時を予約。予約当日にサイトにアクセスし、ジョセケンの助産師に相談をすることができる。ただし、両者はともにアバターの姿。顔がわからないという秘匿性の高さから、話しづらい本音も、安心して打ち明けることができるというわけだ。
下記にあるユーザー調査にあるとおり、この新しい試みの満足度は高い。この結果を受けてプロジェクトリーダーである「BRING」の坂美咲さんはこう語る。「チャットやテレビ電話という相談手法はいまや当たり前になってきていますが、“アバター”という選択肢もあるということを今後も周知させていきたいです」。同様に、ジョセケンの濵脇文子代表理事も手応えを感じているという。「このサービスがきっかけとなって、セルフケア行動や自己肯定感などにポジティブな影響があったことは、とても喜ばしいこと。これからも女性の健康推進のために、さまざまなアプローチを考えていきたいです」
テクノロジーを活用し、健康課題をフラットに相談できる環境づくりを目指す「flat.」の次の一歩に注目したい。

「flat.」は、経済産業省の令和4年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金実証事業」に採択されてスタート。公式サイトには、下記URLからアクセスできる。
https://select-type.com/p/?p=xQuZYQhuDOY

対面や顔出しでの話し辛さを軽減
利用者と助産師の双方が、アバターの姿で対面。ユーザーはプライバシーを保ちながら、お産に関わること以外でも、女性の体や心に関する知識が豊富な助産師に、気軽に相談をすることができる。

高い満足度。約6割が継続利用を希望
「見た目や印象を気にしなくて良い手軽さがある」という利用者の声のとおり、サービス満足度は高い結果に(図左)。体験者の多くが、次回以降もアバターカウンセリングを希望しているという(図右)。

仕事のパフォーマンスも上がる!?
上の図は、利用者のサービス利用前後過去4週間のプレゼンティーイズム(生産性損失)の改善率をまとめたもの。オンライン相談により仕事のパフォーマンスが改善された人が多くいたという結果になった。かつ、アバターを介した方が、改善率が高いという結果になりました。