『POLAR』(2007年)

《初台》「石川直樹 この星の光の地図を写す」が開幕 北極、K2、ポリネシアなど世界を旅する写真家の大規模個展


 北極から南極、世界有数の高峰まで縦横に旅し、真っすぐな視線で記録してきた写真家、石川直樹氏。彼の約20年に及ぶ軌跡を振り返る大規模な個展「石川直樹 この星の光の地図を写す」が1月12日(土)、初台の東京オペラシティ アートギャラリーでスタートしました。
 会場に入り、まず鮮烈な印象を与える作品が『POLAR』。1997年から約10年間にわたって繰り返し訪れた北極圏の風景や暮らしの空気感まで伝えるような写真は、美しさとともに心を揺さぶります。
 先史時代の壁画を撮影した『NEW DIMENSION』は太古の人々の豊かな発想を想起させ、民俗学や人類学の視点を取り入れた写真家独自の視点を印象づけます。

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『NEW DIMENSION』(2007年)

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『K2』(2015年)

 ほかにも、ヒマラヤ西端の世界第2位の高峰への遠征で撮影した『K2』や、ポリネシアの島々をとらえた『CORONA』など計324点を展示。作品別の解説は付けない一方、文筆家としての顔も持つ石川氏の考えを伝える言葉を随所に配し、展示全体が世界観を物語ります。いまも1年のうち半分を旅して過ごす石川氏が見てきた世界の足跡をたどることで、鑑賞者の前にこの星の新たな地図が広がるはずです。

「意味」になる前の風景を

   石川氏は個展の開催に合わせ、メトロポリターナなどのインタビューに応えました。一問一答は以下の通り。

 ――展示の狙いは
 「本当に膨大な地域を旅してきたので、山脈や海、街中などあらゆる場所をめぐってきたエッセンスを凝縮しました。北極や南極から洞窟の壁画、ニュージーランドの原生林、K2などの展示を通って、最後は(登山)道具などを飾った部屋をつくり撮影の背景を感じてもらえればと思います」
 ――著作もありますが、表現方法としての違いは
 「言葉で説明できることを写真でやってもしようがない。言葉が追い付かない、固有名刺など『意味』になる前の風景を提示したいと思っています。だから、うれしいや、苦しい、気持ち悪い、怖いという感情も含め、身体が反応したときに撮影しています」

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テントも配置している『K2』の展示室に立つ石川氏
 ――東京で初めての大規模な個展になります
 「僕は(個展会場のある)初台で生まれたので、故郷で開催できるのはうれしい。東京はいろいろなものがごちゃ混ぜになって、最終的に無色透明になったイメージがあります。だから、(作中の)自然や人間のありのままの姿をすんなり受け止めてもらえると思うし、日常から離れた遠くの場所に思いを馳(は)せるきっかけにしてもらえればと思います」
 ――フィルムからデジタル、スマートフォンなど写真を取り巻く環境は変化しています
 「写真で一番重要なのは記録性だと思っていて、機械が世界を模写することが原点です。SNSの時代になっても、僕は光が焼き付いたものとしての写真にこだわりがあります。個人的に世界の端的な模写としての写真に面白さを感じるので、それを死ぬまで続けていきたいと思います」


 石川直樹
 1977年、東京生まれ。東京芸大大学院博士課程修了。写真家として『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)など著書も多数。

 石川直樹 この星の光の地図を写す
 会期:1月12日~3月24日(日) 11:00~19:00(金、土曜は20:00) ※月曜(祝日の場合は翌火曜)、2月10日(日)は休館
 会場:東京オペラシティ アートギャラリー(新宿区西新宿3-20-2)
 入場料:1200円、大学・高校生800円、中学生以下無料





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