《HK CHUM》2002  ©︎KAWS, Collection of Larry Warsh

KAWS TOKYO FIRST


ポップカルチャーの巨匠KAWSが
国内初の大型展覧会を開催!

 

あのキャラクターたちがTOKYOに大集結!

 ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするアーティスト、KAWS。彼の日本初となる大型展覧会が7月16日(金)より、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催される。本展では、初期作品から最新作までの絵画や彫像、プロダクトなど150点を超える作品を展示。コマーシャルアートとファインアート双方の領域を網羅するKAWSの視覚的アプローチに迫りながら、キャリアの軌跡や美術史的意義を明らかにしていく。また、KAWS自身が保有するプライベートコレクションも展示。彼の創作環境も再現している。ほかにも、AR(拡張現実)作品やインタラクティブ体験など、KAWSというアーティストの世界観をあますことなく楽しめる展示になっている。

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《HOLIDAY, 2019》©︎ KAWS, photograph by @hirokingraphy courtesy AllRightsReserved

 

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《SEEING》2018 Edition of 10, plus 2APs ©︎ KAWS, photograph by Jonty Wilde

 

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《FIVE SUSPECTS》2016 ©︎ KAWS, photograph by Todora Photography LLC, Collection of Larry Warsh

会場ではコラボグッズも販売

 名菓ひよ子とKAWSがコラボレーション!会場内では、ほかにもグッズを販売予定。詳しくは公式WEBサイトへ。

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©︎ひよ子本舗吉野堂

Artist Profile
KAWS : Brian Donnelly
ブライアン・ドネリー

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Photo: Nils Mueller for Wertical

 1974年生まれ。アメリカ・ニュージャージー出身。
1990年代初めにグラフィティアーティストとして頭角を現し、その後93年から96年までニューヨークの美術学校「School of Visual Arts」で学ぶ。
バス停の看板に広告を描いた作品などを通じて知名度を上げ、90年代のグラフィティアート界の一員となる。日本との関わりも強く、97年に東京を訪れ、東京のサブカルチャーに触れ、ストリートアートのプロジェクトにも携わる。また、2019年に富士山の麓で「KAWS: HOLIDAY JAPAN」が開催され、大きな話題となる。2021年2月26日より、ブルックリン美術館で「KAWS: WHAT PARTY」が開催中。


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《ACCOMPLICE》2010 Edition of 3, plus 1AP © KAWS, photograph by Jonty Wilde

2度目のTOKYO FIRST

文:河内タカ

 KAWSの日本での初めての個展をぼくが渋谷パルコで企画したのが2001年3月のことでした。あのときの展示からすでに長い歳月が流れたわけですが、今回の森アーツセンターギャラリーで開催される展示に、なんと前回とまったく同じ「KAWS TOKYO FIRST」というタイトルが使われると知り、なぜKAWSは20年前と同じタイトルにしようと思ったのだろうと戸惑いながらも、内心なんだかうれしくなってしまいました。

広告ポスターにドクロを描き込んだ作品が注目されるようになる

 ニュージャージー州ジャージーシティで生まれたKAWS(ちなみにこの名前の由来は文字の見た目が気に入ったからだそうで、言葉自体にも特に意味はないとのこと)は、前回の展示のときはまだ26歳だったのですが、当時の日本は欧米からのストリートカルチャーやグラフィティアートがブームとなっていて、KAWSの展覧会もそういった流れを反映したようなものでした。それでもKAWSの作品は、どこかほかのグラフィティアーティストとは異なるオーラが感じられ、そこには特別な才能というか、彼の洗練されたデザインセンスと色彩感覚が人々を惹きつける土台になっているのだなという印象を受けました。
 さて、90年代中頃にNYの美術大学を出て間もなかったKAWSを有名にした作品というのが、バス停に掲示されていたラグジュアリーブランドの広告ポスターに、頭に骨が刺さったドクロのキャラクターを描き込んだ一連のシリーズでした。彼は何らかの手段を使いポスターをアクリルケースから抜き出し、家に持ち帰り絵を描き加え、また同じ場所に戻すというゲリラ行為を行っていたのです。このとき、彼が描いた絵があまりにも自然だったため、それが意図的に描き加えられたものだと気づく者は多くなかったようなのです。

ストリートからスタジオでの制作へ
日本のトイやカルチャーからの影響

 このように、KAWSはすでにデビュー当時からオーソドックスなストリートアートとは趣を異にしていたわけですが、彼の描くドクロのキャラクターが有名になっていくにつれ、彼の活動もスタジオ制作へとシフトしていくことになります。KAWSは当時から好きなアニメや玩具などからインスピレーションを得ることが多かったようで、アメリカの人気テレビ番組などのキャラクターに「××」の目を入れ、さらに色や線をより明快にすることで独自のスタイルを築き上げていきます。おそらく誰もが認識できるような大衆的なものを取り入れることで、言葉や文化を超えて広く自分の作品が認識されることを目論んでいたのかもしれません。
 そんなKAWSを語るのに忘れてならないのが、HECTICやUndercover、A BATHING APE、メディコム・トイなど、日本のブランドと早い段階から多彩なコラボレーションを行ってきたことです。日本製のキャラクターグッズやカルチャーから影響を受け、そこから吸収していった要素を自身の作品に反映させていったことは、彼の創作にとってかなり重要なインスピレーションの源であったはずです。それゆえに、今回の「TOKYO FIRST」というタイトルにも、日本のカルチャーへの彼のリスペクトが反映されているのではないかと思えてしまうのです。

 

Profile
TAKA KAWACHI

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サンフランシスコのアートカレッジを卒業後、NYを拠点に展覧会のキュレーションや写真集の編集などを数多く手がける。30年にわたる米国暮らしの後2011年に帰国。著書に『アートの入り口』や『芸術家たち』などがある。


《INFORMATION》

KAWS TOKYO FIRST
Sponsored by DUO

会期:7月16日(金)〜10月11日(月)
10:00〜20:00(最終入館19:30)
※7月19日(月)は17時閉館。8月5日(木)は休館

会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)

https://www.kaws-tokyo-first.jp





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