完成したゾウの壁画の前に勢揃いした「チームキーヤン」。(左から)武田修一郎さん、木村知位子さん、西嶋佳代さんとキーヤン

豊かさ感じさせる赤い象36頭の舞 絵師・木村英輝の壁画が完成


 京都を拠点に活躍する壁画絵師のキーヤンこと木村英輝さんが、世界の民芸やフォークロア商品を扱う「Amina Collection」(アミナコレクション)=横浜市中区=本社に制作していたゾウの壁画が25日、完成しました。アミナコレクションは横浜中華街の南を守護する門「朱雀門」のそばにあり、ゾウは門のある南東に向かっていっせいに飛んでいるように描かれました。こちらを向いて座っていたり、まるで〝イナバウアー〟をするかのようにのけぞったり、楽しそうに何頭も連なって空を飛んでいたりと36頭の表情はそれぞれ。思い思いのポーズを取るゾウ使いも一緒に描かれました。
 キーヤンは白いゾウも描きますが、今回は赤いゾウです。赤はエネルギーや豊かさの象徴だそう。「商売をしているので、豊かさの象徴である赤いゾウがふさわしいと思った。白いゾウだとしらけてしまうから」といいます。

アミナコレクション本社にダイナミックに描かれた36頭のゾウ


エレベーターの扉が開くと目の前にこの光景が広がります


長い廊下にものびのびと空を泳ぐゾウが描かれました


 壁画の色付にはアクリル絵の具を使用しています。これは、顔料やアクリルポリマーエマルジョンなどの成分からなる水溶性の絵の具です。日本画は通常、下塗りしてから1週間ほど乾かすなど制作に非常に時間がかかりますが、アクリル絵の具には「乾きやすい」「乾燥後はひび割れや剥離(はくり)が起こりにくい」「色を重ねやすい」―などの利点があるそうです。

 キーヤンのようにスピード感を持って思いの丈を大胆にぶつける実践的なアーティストにはぴったりの絵の具といえます。「アクリル絵の具は、エレキギターのようなもので、平気で音をかぶせていく。われわれのやってることはロックバンドみたいなもんや」とニヤリとしました。
 また、モチーフの金の縁取りもキーヤンの絵の特徴の1つです。少年時代に路上に絵を描く際に黄色で縁取りしてクレパスで塗っていたそうで、「金の縁取りは落書きの名残で僕の原点」と話します。さらに使用する金もアクリル絵の具の一種のネオカラー。真鍮(しんちゅう)を粉末にするなどして作った本物の金は高価ですが、ネオカラーは安価で手頃。「本金で絵を描くことを売り物にしている人が多かったので使いたくなかった」と、キーヤンのあまのじゃくな性格が見え隠れします。そして、「あっちは本金は使っているがにせものや。僕はニセものの金を使っているけどほんまもんの絵や」と、キーヤン節が炸裂しました。
 壁画は「Smiling Elephants」と名付けられ、最後はアミナコレクションの進藤さわと社長が赤い色を入れて完成しました。延べ50メートルの壁に36頭のゾウを制作した期間は約4日。かなりのスピードです。

 「部屋にこもって描くのは性に合わん」と、街にキャンバスを求めライブ感覚で描き続けるキーヤン。次はどんな作品を生み出すのか楽しみです。

最後は進藤さわと社長が色を入れて完成です


壁画には必ずサインとタイトルを書き込みます


こんな楽しい図柄であふれています




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