観客を楽しませるダンスのエンターテインメント作品という観点で、コレオグラファー(振付師)の才能と実力を競うコンテスト「Legend TOKYO」。7回目となる大会が19、20の両日、東京都千代田区の「東京国際フォーラム」で行われ、グランプリにはコレオグラファー「avecoo」さんの作品「あべ子といち子」が輝きました。

「avecoo」さんの作品のテーマはLGBT=東京都千代田区の「東京国際フォーラム」ホールA (写真・田中幸美)
コンテストに出展した20作品はどれも力作ぞろいでしたが、今年の話題はなんといっても歴代のグランプリ受賞者、いわゆる〝レジェンド〟たちの豪華なゲスト競演です。
2011年に初代王者として〝ファーストレジェンド〟の称号を手にした長谷川達也さん主宰の「DAZZLE」に加え、第2回大会の覇者「梅棒」、さらには第4回優勝の「Memorable Moment」(MM)が登場して、それぞれ完成度の高い独自の世界観を見せつけ、大きな拍手と歓声を浴びていました。

梅棒が登場するやいなやあの大きな「東京国際フォーラム」ホールAは笑いの渦で包まれました
梅棒は、誰もが口ずさめるJ-POPナンバーにのせて、全編セリフのない芝居とジャズをベースにしたダンスで舞台を紡ぐ新感覚のダンスエンターテインメント集団です。2代目〝レジェンド〟でメンバーの伊藤今人さんが総合演出を手がけています。昨今は劇場での公演に軸足を置いた活動をしていて、今回久しぶりの5分間の作品を披露しました。しかもこの大会のために作った新作です。

赤青黄…。戦隊モノ定番のカラーで笑わせます「激情戦隊エモレンジャー」の登場に会場は沸きに沸きました
今人さんは、「コンテストに本気で挑む作品がどれだけクオリティが高いかということは自分たちも経験してわかっていたので、まずそこにプレッシャーがありましたね」と話します。
さらに、海外ゲストがいて、梅棒の前には〝ファーストレジェンド〟の長谷川さん率いるDAZZLEが、珍しく40人という編成で完璧なまでのダークな世界観を展開。後ろには、コレオグラファー「KAORIalive」さんを総合演出に擁するMMが、流れるようなフォーメーションと群舞で圧倒的な存在感を見せました。
「(2作品と)並び立って恥ずかしくない作品にしなくてはいけないなというプレッシャーも感じました」と振り返ります。

戦隊モノには悪役が付きもので、こちらは悪の親玉ハートレス。いかにも悪そうですね
さらに、コンテストの出展作品は重いテーマやシリアスな作品、ストイックな作品が多いので、見ている方にもその本気度と緊張感が伝わって息が詰まるほどです。それが3時間くらい続いた後のゲストの登場となります。
「僕らにしかできない、他の作品にはできないことは、やっぱり笑いで楽しませることだ」。しかも、見ながら最後にストーリーが理解できて笑うのではなく、「見ながらその場で笑い声をあげられちゃうような楽しんでもらえるような作品を作ることができたらゲストとしてここで作品を披露する意味があるな」と感じたそうです。
そんな中、梅棒が選んだのは誰もが楽しめる〝戦隊モノ〟でした。「激情戦隊エモレンジャー」の青レンジャーを描いた作品「GO! BLUE GO!」です。

「激情戦隊エモレンジャー」はどんな活躍を見せてくれるのか期待が高まります
J-POPが欠かせない要素になっている梅棒のメンバーは、普段から使いたい楽曲リストを作っています。イマジンさんは、その中にあった「カナシミ ブルー」という曲を聞いて「ブルーが落ちこぼれで悲しんでいるのはどうかな」と、ぽろっと口にしました。そこからメンバーとの話し合いで〝戦隊モノ〟へとアイデアが膨らんでいったそうです。
ちなみに「カナシミ ブルー」は、2002年5月2日に発売された「KinKi Kids」の14枚目のシングルです。

お役ご免になってしまった青エモレンジャー、さあどうする? 中央の白衣姿の博士が〝セカンドレジェンド〟の伊藤今人さんです
何をやってもダメな青エモレンジャーはある日、そのダメさ加減からエモレンジャーとしての役割を剥奪されますが、周囲の励ましと協力を得て、再びエモレンジャーに復帰するというストーリーです。梅棒の得意とする青春ドラマですね。

何をやってもダメな青エモレンジャーはある日、エモレンジャーとしての役目を奪われます

しかし、周囲の励ましで再び立派なエモレンジャーに復帰します。見ているうちに青エモレンジャーに心情移入してしまいます
この作品は、大きな劇場で上演することを想定した演出で、とくに巨大映像と大道具などを駆使しました。ですから2日間だけの上演になる可能性が大です。

大がかりな映像を駆使しての作品となりました
今後は来年3、4月に東京を皮切りに大阪、福岡などを回り、再び東京へ戻って上演する第8回公演を予定しています。
また、9月28日(金)~10月8日(日)、今人さんの演出で、漫画家・井上三太によるマンガ「TOKYO TRIBE2」の舞台化「TOKYO TRIBE」の上演が決まっています。これには、メンバー7人が出演して振り付けも担当します。
これからも目が離せない梅棒ワールド! ぜひ、あなたもチェックしてください! (写真はすべて田中幸美)
◆「TOKYO TRIBE」は9月28日(金)~10月8日(日)、東京都渋谷区道玄坂2ー14ー8の「TSUTAYA O-EAST」で。問い合わせと予約は☎03・3234・9999(チケットスペース)。