世界各地で創作を続ける16名の女性アーティスト。その全員が、なんとキャリア50年を超える70歳以上！彼女たちのエネルギーが詰まった展覧会が開催中だ。

困難な状況を乗り越えて
未来を夢見る力を与えてくれる

　”挑戦しつづける力−世界の女性アーティスト16人”と副題がつけられたこの展覧会は、今年の4月22日に開幕したものの、緊急事態宣言によりわずか3日間で臨時休館となり、6月1日に再開された。

　出展されているのは、71歳から106歳の女性アーティストの作品。それぞれの出身地は14カ国、現在の活動拠点も北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアと多岐にわたる。表現方法も絵画、映像、彫刻、インスタレーション、パフォーマンスなど、さまざまだ。世界に広がるダイバーシティ（多様性）を重視する動きから、50年以上もアートに挑み続けてきた彼女たちの活動に、あらためて世界中から注目が集まっているという。

　小ぶりの絵画作品から大型のインスタレーションまで、展示された約130点のすべてからアーティストが込めたエネルギーが放たれ、会場全体がまるでパワースポットのよう。提示された彼女たちの力強い言葉も含めて、観る者に力を与えてくれる。

　会場内のほとんどが撮影可能なので、気に入った作品の写真を撮ったり、16名のアーティストがそれぞれ取り組むテーマについて考えたり、激動の時代に創作を継続してきた彼女たちの原動力に思いを馳せたりと、さまざまな楽しみ方、感じ方ができる展覧会。現在の困難な状況を乗り越える勇気と、未来を夢見る力をチャージしに行こう！

Lili Dujourie

進むためのエネルギーは自分の中にあり、
それが良いか悪いかを前もって知ることはないのです。
―― リリ・デュジュリー

《風景》（部分）1976-77年
雑誌の切れ端などを壁に数枚ピンで留め、極度に少ない情報量で風景を表した作品。窓外の東京のシティスケープとともに眺めたい。

　1960年代から鋼を使った作品を制作し始め、70年代には写真と映像作品、80年代中頃からは鉄、大理石、鉛、石膏などの重量感がある素材を用いた立体を制作。近年の彫刻作品では粘土や張り子などを用い、より繊細ではかない表現へと変化を遂げた。本展では、1967年に発表された《無題（均衡）》をはじめ、2009年に発表されたビデオ・インスタレーション《海辺の日曜》のほか、彫刻、素描、コラージュなどが展示されている。少ない要素で構築する洗練された詩的な表現が特徴だ。動作と静止、空間と時間など、本質的な要素の関係によってつくり出され、なんらかの中間領域に観る者の意識を向けさせる、新たな発見をもたらしてくれる。

Profile

　1941年、ベルギー、ルーセラーレ生まれ。1960年代より主にベルギーを拠点に活動。2000年以降にそれまでの活動があらためて注目され、ドクメンタ12（2007年）、シドニー・ビエンナーレ（2018年）などの主要な国際展に招待された。2015年にゲント現代美術館とミュゼー（ベルギー、オーステンデ）で大規模な個展が同時開催された。

 Information

アナザーエナジー展：
挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人

会期：9月26日（日）まで開催中
開館時間：10：00〜20：00（最終入館19：30）
※火曜日のみ17：00まで（最終入館16：30）
※当面時間を短縮して営業。最新情報はWebサイトにてご確認ください
会場：森美術館（六本木ヒルズ森タワー53階）
出展アーティスト：エテル・アドナン、フィリダ・バーロウ、アンナ・ボギギアン、ミリアム・カーン、リリ・デュジュリー、アンナ・ベラ・ガイゲル、ベアトリス・ゴンザレス、カルメン・ヘレラ、
キム・スンギ、スザンヌ・レイシー、三島喜美代、宮本和子、センガ・ネングディ、ヌヌンWS、アルピタ・シン、ロビン・ホワイト

便利で安心な森美術館のオンラインチケットシステム

　森美術館に行くなら、この春から新たに導入されたチケットシステムを活用しよう。専用オンラインサイトや「ヒルズアプリ」からチケットを事前購入すれば、QRコード認証でスムーズにダイレクト・イン入館ができる。また、美術館入り口には無人券売機も設置。キャッシュレスにも対応し、非対面、非接触の安心して鑑賞できる環境になっている。

専用オンラインサイト
https://visit.mam-tcv-macg-hills.com

ヒルズアプリ
https://preview.page.link/hillsapp.page.link/app_installer
※スマートフォンでアクセスしてください。