# 天然繊維「10年先まで着られる服に出合う」[サステナブルファッション入門]

ファッション

 いいものを少しだけ持つ。それを大切にし、長く着る。これももちろん、サステナブル。


Hakuro

ハクロ

天然繊維の服を選ぶということ

 世界3大生地産地のひとつとされる愛知県尾州地方。ここで100年以上の歴史をもつ毛織物メーカーが山栄毛織だ。長年培ってきたノウハウを生かしてつくられる高品質な生地は、世界各国のメゾンや、国内外の有名ブランドの服にも使用されている。そんな山栄毛織が昨年から洋服づくりをはじめた。 その名は《ハクロ》。山栄毛織が世界に誇る生地を使ったイージースラックスのブランドだ。そのものづくりには、代表の山田和弘さんのこんな想いが込められている。

 「ウールやカシミヤなどを使った織物の、本当のよさを知ってほしいという想いからはじめました。だからまずは無地だけ。なめらかなドレープと肌触りの心地よさ、上品なツヤといった、天然繊維がもつ美しさや魅力に気づいてもらえるはずです」

 《ハクロ》ではあえて、低速に設定した織機を使って生地を織っている。時間はかかるが、そうすると糸がつぶれず、やわらかな風合いの生地に仕上がるのだという。こうしてできあがった生地は、国内の縫製工場でパンツに仕立てられる。長く履き続けることを前提としているので、パッと見は、シンプルなデザイン。けれど、素材がもつ上品な存在感にもすぐ気づく。ちゃんとした場所にだって着ていける。しかもウエストは楽ちんなゴム仕様。これさえあれば、困らない。そんな気持ちにもさせてくれる服だ。

 「天然繊維の服は、着続けていくことで変化していきます。風合いはやわらかくなり、ブラッシングしていけば毛玉も防げて、ツヤが生まれ、色落ちやアタリなども独特のアクセントとして楽しめます。この経年変化は、着ている人によって異なります。つまり、世界にたった一着しかない服に育てることができるのです。何年、何十年と大切に着続けてもらえるとうれしいですね」

 美しくて心地いい。だから長く着続けたいと思えるし、大切にもする。そんな服を選ぶ。これもまた、サステナブルのひとつのかたちともいえるはず。

metro222_sp08_1.jpg「カシミヤのなかのカシミヤ」と呼ばれる最高品質のアラシャンカシミヤを、贅沢に使用したテーパードのイージーパンツ。カシミヤでは非常に珍しい細い糸を高密度に織りあげ、上品な光沢感と独特のヌメリ感を実現。ニットなどでイメージするカシミヤとはまた違う、特別な魅力を感じられる一本だ。ウエストはドローコード仕様でもカジュアルに見えすぎないので、スニーカーからパンプスまで、靴を選ばずコーディネートしやすいのも魅力。
《ハクロ》alashan cash tapered(black) 9万200円 8月下旬以降発売予定

metro222_sp08_2.jpg低速の織機でゆっくりと織りあげたカシミヤの生地。《ハクロ》では、ウールやリネン、シルクなどの天然素材を使ったパンツをつくっている。

 

伊勢丹新宿店 本館4階 プライムガーデン
Tel. 03-3352-1111(代表)


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