年間9200万トンともいわれる世界のアパレル産業のゴミ。そのなかに大量に含まれるポリエステルを、なんとかする方法ってあるのだろうか?
BRING
ブリング

ポリエステル繊維を再生する
1年間に生産される繊維の約60%(約5200万トン)がポリエステルだといわれている。軽くて丈夫。乾きやすくてシワもできにくい。大量生産できるのでコストも安い。環境負荷の高い素材といわれているポリエステルは、繊維産業にとって欠かせない素材でもあり、これをいきなりゼロにするのは現実的ではないはず。そこで、サステナブルへのひとつの選択肢として考えられるのが、ポリエステル繊維のリサイクルだ。日本環境設計が運営する、“服から服をつくる”をコンセプトにしたブランド《BRING》は、リサイクルプロジェクトも並行して行う。ポリエステル繊維の服を回収し、それを再び繊維にして新たな服としてよみがえらせている。日本環境設計の日比伸一郎さんは、この技術を通じて、アパレル産業のサーキュラー・エコノミー(循環型経済システム)を目指すという。
「染色されたポリエステル繊維を再利用することは、技術的にとても難しいことですが、私たちは、回収した服を一度分子レベルまで分解することによって、ポリエステル繊維のリサイクルを実現しました。着古した服から、新しい服をつくる。その服はいつかまた回収され、何度も新しい服になっていく。あらゆる資源を再利用し循環させることが私たちの目標です」
生まれ変わった繊維は、機能面でもポリエステルがもつ優れた特徴をきちんと引き継いでいる。《BRING》のディレクターを務める中村崇之さんは、こう語る。「再生素材だからといって、品質が下がってしまっては意味がありません。美しい色や着心地のよさ、そういったものがあってこそ、消費者はその服を手にとってくれるし、結果としてリサイクルの環がつながっていきます。だから、《BRING》のTシャツは、デザインにも機能的にもこだわっています」。目指すのは、ポリエステルに限らずあらゆる素材のリサイクル。自社だけではなく、ほかのアパレルブランドや企業とも協力しながら、服の回収やリサイクルを進め、サーキュラー・エコノミーを実現していくという。私たちも、その環に参加してみよう。
アパレル製品をつくるときに発生する残反や残糸、回収した古着などを原料にしたポリエステル100パーセントの《BRING》のカットソー。コットンのようななめらかな肌触りの生地は、マイクロファイバーの流出を軽減するように加工されたものでもある。高い吸水速乾性能で、夏にもぴったり。真んなかのTシャツは、製品染めすることで、より風合いのいい一枚に。
《BRING》のプロダクトは、ECサイトなどから購入が可能
https://bring.org