在宅太り、大丈夫?
通勤時間や移動時間が減り、自由な時間が増えるし、ひとりで集中して仕事ができる。自分の家で働く在宅ワークは、たしかに便利だ。けれど、在宅ワークだからこその、健康に関わる悩みもある。体重増加や睡眠の乱れなど、在宅ワークが健康にどんな影響を与えるのか、健康な体の基本となる「運動」「食事」「睡眠」の3つの面から、健康に関する計測機器を扱う「タニタ」開発部生体科学課の木下裕梨さんに話を聞いた。
「在宅ワーカーは、通勤や移動がなくなることで運動不足になったり、手軽に食事を済ませてしまうことで栄養バランスが偏りがち。さらに、就業時間が不規則になって、就寝時間や起床時間が乱れている人もいるようです。在宅ワークは、健康へさまざまな影響があると考えられています」
そのなかでも、悩ましい問題のひとつが”在宅太り”。タニタ社員の在宅ワーク期間中の活動量の変化を調べたところ、減少している人が多く見られた。
「活動量が減り運動不足になると、いわゆるコロナ太りにつながりやすくなると考えられます。筑波大学とタニタヘルスリンクが都内の会社員100名を調査したところ、テレワークをすることで1日の歩数が30%減少したというデータもあります。なかには、70%減少した人もいたそうです」
運動不足は肥満につながり、生活習慣病の原因ともなる。また、筋力も衰えるので、将来的な健康リスクも高まっていくことに。そんなリスクをおさえるために、私たちはどんなことをすればいいのだろう?
「在宅ワークに合わせた、新しい生活習慣を築くことが大切です。毎日同じ時間に起きて、就業の前後には散歩を。食事も栄養バランスを意識する。忙しいかもしれませんが、いまは手間をかけなくても、バランスの取れた食事をとる方法があります。在宅ワークには、メリットもたくさんあります。時間を自由に使いやすいからこそ、うまく生活リズムをつくれれば、以前よりも健康な体づくりはしやすくなるはずです。そのためにも、自分の体の状態を客観的に知ることが重要。活動量計や体組成計を使って、数値で体の状態を把握し、管理してみてください」
〈PROBLEM〉在宅ワークは健康にどんな影響が?
【運動】平均歩数は30%減少
通勤がなくなり、移動する機会が減ることにより運動不足になりがち。タニタヘルスリンクの研究によると、在宅ワークによって歩数は30%減少するというデータもあり。活動量が減ることにより肥満、そして生活習慣病のリスクが高まる。運動不足は肥満だけではなく、筋力の低下にもつながり、その状態が長期続くと将来的には身体的フレイル(要介護の一歩手前の虚弱状態)になるリスクも高まる。
【食事】食生活が乱れ、飲酒量も増加傾向
短いランチタイムでは、自炊する時間がなくインスタント食品を食べがち。ひとりで仕事をしていると、ついついお菓子にも手が伸びてしまう。その結果、栄養バランスは偏り、摂取カロリーもオーバー。在宅ワークは、食生活が乱れやすい。また、通勤がなくなることで、終業後すぐに飲酒ができ、オンライン飲み会などではダラダラと飲み続けてしまったりと、飲酒量が増える傾向もある。
【睡眠】生活リズムが崩れ、睡眠の質も低下
生活リズムが大きく変わる在宅ワークでは、睡眠習慣も乱れがち。夜遅くまで仕事をして目がさえてしまったり、運動量の低下によって寝つきが悪かったり、明日も出社しないから少しくらい夜更かししても平気かも、と油断した結果、朝もちゃんと起きられなかったり…。睡眠の質の低下は、健康に悪影響を与える可能性もあり、睡眠時間が短いと肥満になりやすい、という研究結果もあるので要注意。
〈SOLUTION〉こんな新習慣をはじめてみよう!
【運動】散歩習慣をはじめよう
手軽にできる運動不足の解消法のひとつは歩くこと。厚生労働省が推奨する1日の目標歩数は成人で約8000歩だが、在宅ワークで移動が減少した生活を送ると、その目標歩数を下回る可能性が。だから、活動量計などを身につけて、歩数を意識してみることも大切。就業時間の前後など、時間を決めて散歩をする習慣を身につけよう。ちなみに10分歩くと、歩数は約1000歩に達すると言われている。
【食事】工夫してバランスの取れた食事を
食は健康の中心。在宅太りだからといって、食事を抜いたりサラダだけ、ということは避けたほうがいい。ヘルシーな食事を意識しすぎると、タンパク質が不足することもあるので注意しよう。とはいえ仕事に追われながら自炊をするのも大変。インスタント食品というときは、一品でもいいので汁物や副菜を用意したり、時間のある夜にバランスのいい食事をして、栄養素の偏りを修正しよう。
【睡眠】起床後は朝日を浴びよう
睡眠の乱れを整えるための第一歩は、朝同じ時間に起きること。朝日を浴びれば体内時計はリセットされ、夜になれば自然と眠気を感じるようになる。だから朝の散歩は、運動不足の解消にもなるし一石二鳥! また、睡眠の質を高めるためには、睡眠計などを活用するのも一つの手。どういったときに睡眠の状態が変化するか、日中の過ごし方と睡眠の関係を知ることで、快眠を実現しよう。
《ITEM》健康な体づくりの基本は知ることから。計測機器を使って客観的に把握しよう!
活動量計
運動不足解消のためにも、まずは歩数管理を。この活動量計は厚さ9.4mmの薄型デザインだから、胸ポケットに忍ばせるなどして常に携帯しやすい。歩数に加え、消費エネルギー量などを計測できる。
カロリズムSlim AM-122 5478円
体組成計
2つの周波数で筋肉量や脂肪量などの体組成を高精度に計測できる体組成計。部位ごとの計測も可能。スマホと連携できるので、日々の体の変化をこれで管理してみよう。
インナースキャンデュアル RD-804L 5万5000円
睡眠計
寝具の下に設置し、その上に寝ることで睡眠の状態をセンサーが測定。睡眠の深さやリズムを時間ごとに計測し、数値で分析してくれる。客観的に自分の眠りを観察して、快眠を目指そう。
スリープスキャン SL-511-WF2 6万6000円
タニタお客様サポート
Tel. 0570-099655