漢方Q&A[漢方のキホン]


 まずはじめに、漢方の超入門編。取り入れる前に知っておきたい、漢方の基本を見ていこう。


Q1.そもそも漢方ってなに?

A.バランスを整える医学
 身体全体の状態を、陰陽や五行といった概念のもと、総合的に分析して治療をする、中国伝統医学を日本の風土に合わせてアレンジしたもの。一人ひとりの症状や生活習慣、体質に合わせて、鍼やお灸、漢方薬などで治療が行われる。さまざまな生薬を組み合わせた「漢方薬」は、体に不足しているものを補ったり、多すぎるものを取り除いたりして身体のバランスを整え、自然治癒力を高める働きをもつ。現在、148種類の漢方薬に、「医薬品」として保険診療が認められている。

Q2.漢方薬にはどんな種類がある?

A.大きく分けて5種類ほど
 生薬を煮出した「煎剤」、生薬を粉末状にした「散剤」、散剤に水分やはちみつなどを加えて丸い形に固めた「丸剤」、生薬の成分を抽出して油分を加えて固めた「軟膏」、生薬の成分を凝縮した「エキス剤」などがある。エキス剤は、顆粒や錠剤、カプセルタイプなど、さまざまな形に加工されているため、飲みやすく保存もきく。ドラッグストアなどで購入できる一般用漢方薬は、生薬の組み合わせは医療用と変わらないものの、安全に服用できるよう、1日の服用量に含まれる成分の量が少ない場合がある。

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Q3.生薬とはどんなもの?

A.薬理効果をもつ自然物
 病気を治したり症状を軽くしたりする働きをもつ自然物の一部を、切る、乾燥させる、蒸すなどして加工したもの。植物を中心に、動物の臓器や角、化石や鉱物、貝殻などが素材として使用されている。生薬の効能は、さまざまな植物などを実際に食べて効能を確認するという、先人の経験の積み重ねによって見つけ出されてきた。そうして長い歴史の中で効果の認められた生薬をブレンドしたものが、「漢方薬」として使われている。

Q4.漢方薬と西洋薬の違いは?

A.全体に働くor1カ所に集中
 大きな違いは身体への作用。西洋薬は1種類の薬で1つの症状を集中的に治せるものが多い。効き目が強いぶん副作用が出る可能性が高かったり、症状がいくつも重なると薬の種類が増えてしまうことも。一方、漢方薬はさまざまな生薬を組み合わせてつくられるため、ひとつの漢方薬でいろいろな症状に対応できる。近年は、急性疾患は西洋医学で治療されることが多く、「病院で診断しても異常はないけれど、なんとなく体調が悪い」といった症状(不定愁訴)の治療を得意としている。

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Q5.「陰陽論」とは?

A.夏と冬、熱と冷のようなバランス
 あらゆるものを陰と陽に分けて対立する関係とした、東洋医学の理論。外に面している顔面や背中は陽、内に面しているとされる胸腹や体内臓器は陰、といったように、人体にも陰陽があり、そのバランスが崩れたときに病気になると考えられている。たとえば、陽が強く陰が弱いときには体が熱っぽくなり、陰が強く陽が弱いときには体が冷え、その状態が続くと病気になりやすくなる。このバランスが崩れて不調が見られたときに、体を温めたり、冷やしたりする効果のある漢方薬を服用して整えていく。右の図にあるように、季節や時間にも陰陽があるとされている。

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Q6.「五行論」とは?

A.自然界はこの5つで成り立っている?
 自然界に存在するすべてのものを「木、火、土、金、水」の5つの元素に分類する理論。この5つの要素が、互いの性質を助け合ったり、打ち消し合ったりすることで、あらゆるもののバランスをとっていると考えられている。これを体に応用したのが「五臓」の考え方。肝が「木」、心が「火」、脾が「土」、肺が「金」、腎が「水」に分けられ、それぞれの機能同士が助け合いながら、各機能のバランスをとり、健康な状態を保っている。不調が見られれば、その原因がどこにあるのかを分析し、五臓にアプローチする漢方薬を服用する。

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Q7.「気血水」とは?

A.生きるために必要な3つの柱
 漢方では、人間の体を構成する基本的な要素は「気・血・水」であり、それぞれが関係し合って健康な状態を保っていると考える。「気」は健康にいきいきと生活するうえで大切なエネルギー源、「血」はいわゆる血液で体内に栄養を運んでくれるもの、「水」は体内にうるおいを与えたり余分な熱を抑えてくれる水分のこと。このいずれかが不足したり滞ったりしてバランスが崩れると、心身に不調をきたすとされている。水分が停滞してむくんでいる場合は水分を排出する漢方薬、疲れて元気が出ないときには消化器官の働きを高めて体に栄養を届ける漢方薬、といったように、症状に対応した漢方薬を選ぶ。

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Q8.漢方の診療方法は?

A.五感を駆使した診療方法
 身体の状態を把握するために「四診」という診療が行われる。患者の動作や状態(顔色や皮膚の状態など)を診る「望診」、自覚症状や生活習慣などを知るための「問診」、話し方や呼吸音などを聞く「聞診」、腹部に触れて筋肉の緊張度や内臓の状態を診たり(腹診)脈の状態を診たり(脈診)する「切診」だ。これらの診察結果と、陰陽論や五行説などの理論をふまえて総合的に分析され、漢方薬が処方されたり、治療法が決められたりする。このプロセスを「証を立てる」という。

Q9.漢方薬に副作用やアレルギーはある?

A.もちろん起こることもある!
 副作用は少ないものの、まったくないとは言えない。自分の体質に合わない漢方薬や誤った服用方法、西洋薬や健康食品などとの併用によって、副作用が出ることがある。アレルギーについては、まれにではあるものの、いくつかの症例が報告されている。漢方薬にはさまざまな成分が含まれているため、そのいずれかの成分が原因になることも。副作用やアレルギーが出る可能性があるということを忘れずに、漢方薬は適切に服用し、不安なときは必ず医師や薬剤師に相談しよう。

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Q10.漢方薬を飲むタイミングは?
どれくらい飲み続けたらいいの?

A.食前や食間に体調を見ながら服用を
 空腹時に飲むほうが成分が身体に吸収されやすいため、食前や食間の服用が一般的。食前の場合は食事の約30分前、食間の場合は食後の2〜3時間がベストだ。漢方薬の服用は、気になる症状がなくなった時点で終了しよう。症状の度合いや体質、生活習慣などによって個人差があるものの、1〜2カ月服用しても効果が感じられない場合は、医師や薬剤師などの専門家に相談を。飲み忘れた場合でも、2回分を1回で飲むのはNG!

Q11.漢方薬の効果を高めたい!どうすれば?

A.基本の生活習慣を整えよう
 成分を効率的に身体にアプローチさせるためには、生活習慣を整える「養生」の観点も大切。血や水のバランスを保つために栄養バランスのいい食事を心がけ、血の巡りを促すために適度な運動やストレッチを。湯船で体を芯まで温めて自律神経を整えたり、気を高めるためにしっかり休んで、十分な睡眠も心がけたい。こうした日頃の養生を併せて行うことで、身体の内側から整い、漢方薬の効果も高まりやすくなる。さらに服用時は、吸収力を上げるために白湯を使うなど、人肌に温めた状態で飲むのもポイント。

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