天空にいちばん近い列車で、星空を見にいく
山梨県の小淵沢駅と長野県の小諸駅をつなぐ小海線。この沿線の魅力は、八ヶ岳の美しい自然と、高冷地の気候が育む高原野菜などの恵み。そして、小海線の清里駅と野辺山駅の間には、標高「1375m」というJR線の標高最高到達地点があり、周囲は日本屈指の美しい星空が見える名所でもある。
この高原地帯を走り抜ける観光列車が、「HIGH RAIL 1375」だ。小淵沢と小諸を結ぶ小海線を往復運転するこの列車。小諸駅からは、14時46分発のHIGH RAIL2号に乗ることになる。山間の千曲川沿いの風景を眺め、車内の売店で買ったカップ酒で乾杯。列車旅ならではの贅沢を楽しんでいると、約90分で野辺山駅に到着する。
16時頃の夏の空はまだまだ明るいから、近くのホテルにチェックインし、夕食をいただく。20時を過ぎた頃、ようやく薄明の時が終わり満天の星空が広がる。視界いっぱいの夜空に輝くのは、夏の大三角形に天の川。そして、ペルセウス座流星群の流れ星。息をのむほど美しい天体ショーは、きっとこの夏いちばんの思い出になるはずだ。
「HIGH RAIL1375」は2両編成。1号車の座席は、窓を向いているので美しい里山の景色を存分に楽しめる。
2号車のギャラリースペースには天文関連書籍が並び、ドーム形の天井には星空の映像が流れている。また、車内Wi-Fiに接続するとオリジナルコンテンツも楽しめる。
車内には、軽食や地酒を販売する売店もある。ワンカップ酒「きたやつカップ」は佐久穂町の蔵元「黒澤酒造」によるもの。事前予約をしておけば、特製弁当も用意してくれる。
5)八ヶ岳グレイスホテル(南牧村野辺山)
星のソムリエがいる、高原リゾートホテル。
宿泊者の大半が星を見るために訪れるという「八ヶ岳グレイスホテル」。このホテルに泊まったら、ぜひ参加したいのが毎晩開催されている星空鑑賞会だ。自家菜園で採れた高原野菜や長野の食材を使った夕食でおなかを満たしたら、ホテル横のグランドへ移動。マットの上に寝転んで、星空鑑賞をすることができる。鑑賞会のアテンダーは、星のソムリエの資格を持つホテルスタッフ。丁寧かつ好奇心をくすぐる解説に耳を傾けていると、ただでさえ美しい星空がより特別なものに見えてくる。リピーターが多いというのも納得だ。7〜8月はペルセウス座流星群の時期。極大日には1時間に40〜50回流れるという流れ星を見に、野辺山を訪れてみよう。
特別和室には、天体望遠鏡が。部屋からも星空を楽しむことができる。
雨の日は室内でプラネタリウム鑑賞会が開かれている。
周囲に遮るものがない広い空と、乾燥した澄んだ大気。高原という地理条件のおかげで美しい星空を見ることができる。
YATSUGATAKE GRACE HOTEL
長野県南佐久郡南牧村野辺山217-1
Tel. 0267-91-9515
スタンダードツイン13,000円〜、特別和室18,000円〜(2名1室2食付き、税、サービス料込)
https://www.y-grace.com
6)軽井沢タリアセン(軽井沢町)
広大な敷地に、さまざまな施設
レイクサイドで1日中楽しもう!
塩沢湖を中心に、さまざまな施設が集まった「軽井沢タリアセン」。湖畔ののどかな雰囲気にも心癒やされるが、約10万平米の敷地の中には、美術館や文学館、イングリッシュローズガーデンに、サイクルモノレールやゴーカート場といったアトラクション、テニス場など多彩な施設が点在。ひとりのんびり過ごしたり、子供と一緒に遊び回ったりと、いろいろな楽しみ方ができる。園内にはオープンテラスの洋食レストランやハンバーガーハウス、カフェなどがあり、飲食も充実。ランチで訪れるのもおすすめだ。
対岸に見えるのは、昭和6年に建てられた睡鳩荘(旧朝吹山荘)。かつてはフランス文学者である朝吹登水子が別荘として使っていた。
フランスの画家レイモン・ペイネの作品を展示するペイネ美術館からも、湖畔の美しい景色を堪能できる。
天気のいい日はボートに乗るのも気持ちがいい。
信州黒毛和牛100%パティのハンバーガー(ダブル2180円)、自家焙煎のコーヒー(400円)
KARUIZAWA TALIESIN
長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉217
Tel. 0267-46-6161
[営]9:00〜17:00(休園日は公式HPへ)
入園料:高校生以上900円、小中学生400円
http://www.karuizawataliesin.com
7)ピッキオ(軽井沢町)
豊かな生態系を育む
美しき森をめぐるネイチャーツアー
浅間山の麓には、美しい森が広がっている。その国設「軽井沢野鳥の森」をメインフィールドに、さまざまなネイチャーツアーを実施しているのが「ピッキオ」だ。人気ツアーは、「野鳥の森ネイチャーウォッチング」。双眼鏡と図鑑を携帯して、ガイドとともに森の中の約2kmのコースを約2時間かけてめぐり、野鳥をはじめさまざまな動植物を観察する。耳をすませ、生物の痕跡を探す。注意深く周囲を観察しながら歩けば、この森に生きるたくさんの命に気づくことができる。
1974年に国設野鳥の森に指定され、日本三大野鳥生息地とも言われるこの森は、先人たちが、野鳥を愛し守る文化を育んできた場所でもある。
ピッキオ野鳥の森ビジターセンターでは、野鳥のカフェラテを堪能。ピッキオとはキツツキのこと。樹木に穿つ穴は、別の生物の住処となり、森を豊かに育んでいく。
樹皮に残されたツキノワグマの爪痕。ピッキオでは、ツキノワグマの保護管理活動にも力を入れている。
カフェラテ(600円)
PICCHIO
長野県北佐久郡軽井沢町星野
Tel. 0267-45-7777
野鳥の森ネイチャーウォッチング:大人2500円~、4歳〜小学生1200円~
https://picchio.co.jp