いま、韓国コスメがさらに熱い。K-POPブームなどの波に乗って到来する韓国コスメは、年々アップデートを続けている。今年日本に上陸したブランドだけでも5つ以上。ますます進化を続ける韓国コスメの最新情報を知れば、明日からのスキンケアやメイクが、もっと楽しくなるはず。
AYANAさん
化粧品メーカーでの商品・店舗開発を経て、ライターとして独立。コラムやエッセイ、ブランドカタログへの執筆など、ビューティーを切り口とした文章を書く。そのほか、コスメ商品の開発やブランディング、個人・企業向けのオンライン文章講座なども行う。6月には、自身2冊目となる著書『仕事美辞』(双葉社)を発売。
韓国の美意識が
世界中を魅了する
韓国が美容大国なのはいまに始まったことではありません。韓国コスメがイイってことも、ずっと周知の事実だったはず。とはいえ、その人気に関しては、長いこと「好きな人は好きだよね」の域を出なかったような気がします。ところが最近は様子が変わってきました。韓国がつくり上げる美の概念は、もはや世界中の憧れの的。ハイブランドが韓国の俳優やアーティストをこぞってアンバサダーに指名し、モード誌の表紙にはKーPOPアイドルが軒並み起用されています。韓国コスメのポップアップはいつだって大行列で、気づけば猫も杓子も韓国ビューティーに夢中! いったい何が起こっているのでしょうか。韓国コスメにハマっている一人として、その魅力を少しひもといてみたいと思います。
随所に凝らされている
気分高まる仕掛け
まず韓国コスメには、使うと変化がよくわかる傾向があります。以前取材をした美容関係者の方が「化粧品の開発をするなら韓国がいい」と話してくれたことがあります。聞けば、韓国は最短で結果を出したいと考える人たちが集まっているから、開発のスピードも速く、使ってすぐに結果が出るような手応えのある製品をつくることができる、ということでした。雰囲気だけが良くて効果実感が薄い化粧品は、韓国において辛辣な評価を受けるのだそうです。そう言われるとたしかに、韓国コスメには目的がはっきりとしたアイテムが多いと感じます。効果をどこまでも追求するから、技術革新のスピードも目覚ましいのでしょう。最近は、欧米のラグジュアリーブランドが韓国のOEM(製造会社)で化粧品を開発することも珍しくなくなりました。
デザインがコンテンポラリーでかわいいのに、リーズナブルで手を出しやすい。そのギャップも韓国コスメの魅力です。ほかの国では考えられないようなユニークな形状や色使いのものがたくさんあって、見ているだけでワクワクします。ノベルティも凝ったものが多く、アイドルのトレカがもらえたりもする。いつも何か新しいサプライズが用意されているアミューズメント感があります。
進化のスピードが桁違い!
だから目が離せない
ところで、私が韓国コスメの魅力に気づいたのは2019年のことです。ほどなくしてKーPOPにもハマっていったのですが、当時はちょうど韓国文化の世界進出が目立っていたときでした。2019年はBLACKPINKが米国の音楽フェス・コーチェラに出演し、2020年にはBTSの「Dynamite」がブレイク、その後Netflixの『イカゲーム』が世界的成功を収めます。リアルタイムでそのうねりを感じながら思ったのは、韓国はマーケットに合わせて軽やかに流行を変化させることと、世界観づくりがとっても上手ということ。この5年だけみても、コスメのデザインやコンセプトもかなり様変わりしました。
最近は、NewJeansやaespaに代表される、Y2Kやアシッド・メロウなムードが人気で、《フィー》や《ヒンス》、《ブレイ》など、コスメのデザインもその流れをくんだものが出てきているなと感じます。また、《ノンフィクション》を皮切りに、フレグランスやライフスタイルの方面でも、スタイリッシュなブランドが頭角を現してきています。今年3月に上陸し、青山に路面店をオープンした《タンバリンズ》はその象徴。アイウェアブランド《ジェントルモンスター》とフュージョンさせた店舗デザインで、店内にはコンセプチュアルなインスタレーションの展示があり、商品の陳列からショッパーのデザインまで、美意識がそこかしこに行き届いていました。
これから韓国のビューティーはどうなっていくのか。その進化のスピードがあまりにも速いため想像もできませんが、きっとこれからもあっと驚く変化で私たちを飽きさせず、楽しませてくれるのでしょう。それだけは間違いありません。
韓国のメイクに欠かせないティントリップも最近は質感がかなり進化。ぷるんとした立体的な膜をつくり、おしゃれなツヤと色が持続します。最近の大ヒットは《フィー》や《ヒンス》の保湿も叶えるジェルグロスタイプ。
大好きでほとんどの製品を制覇したと思われる《アビブ》。シートマスクが有名ですが、他にも名品ばかりです。これはコラーゲンアイパッチ。表面がエンボス状で目の周りのデリケートな肌をやわらかく包み込んでくれます。