Photography & Text=AI TOMITA

湖旅の拠点、今アツいのは富士北麓![富士を見上げて、湖をめぐる旅へ。]

グルメ, おでかけ

 富士の山の麓には、古今東西さまざまなカルチャーが生まれてきた。近年、移住者や東京との二拠点生活者も増え、宿泊施設や飲食店などにも新しい風が吹いているのが富士吉田をはじめとする北麓エリア。ほっとひと息できる、湖旅の立ち寄りスポットを紹介。


FabCafe Fuji

コーヒーの香りが運ぶ、
富士のまちの新しい風。

かつて地元の銀行として人々を見守ってきた建物が、いま、再び息づきはじめている。閉鎖後は消防署の駐車場として使われ、長く眠っていた空間だったが、2021年に開催された布の芸術祭「FUJI TEXTILE WEEK」を機にリノベーション。現在はカフェとして再生し、“食”と“テキスタイル”という二つの文化を媒介に、アイデアと人が行き交う場所へと姿を変えた。山梨県甲府市にある〈AKITO COFFEE〉のコーヒー豆を使用したスペシャリティコーヒーや、甘さ控えめで身体にやさしいデザートなど、地域の恵みを生かしたメニューは必食。外国人観光客の姿も多く、過去の記憶と新しい風が、このまちの時間をやさしく織り上げていく。

住|山梨県富士吉田市下吉田3丁目5-16
営|8:00〜17:00
休|火曜日
@fabcafefuji

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toe BAR & RESTAURANT(kagelow)

富士山のふもとで紡ぐ、
旅人の食卓。

〈kagelow Mt.Fuji Hostel〉に併設するバー&レストラン。古民家ならではの木材を生かしたモダンな空間は開放的で温もりがあり、宿泊客はもちろん、地元の人々も気軽に立ち寄れるくつろぎの場所となっている。昼はカフェとして営業しており、テラス席で味わうコーヒーは、穏やかな午後のご褒美に。前日までの予約で楽しめるおまかせコース(3000円/4000円)は、旬の食材をふんだんに使った料理が並び、親しい人とのささやかなパーティにもぴったりだ。富士登山道のひとつ「富士吉田ルート」にも近く、山の余韻を感じながら下山後のひと息を楽しめるのも魅力。肩の力をそっと抜いて、この土地の味と人の温もりを、心ゆくまで楽しんで。

住|山梨県南都留郡富士河口湖町船津3111-1
電|0555-73-4066
営|ランチ/11:30〜14:30(L.O. 14:00)、カフェ/15:30〜17:30(L.O. 17:00)、ディナー/18:00〜22:00 (L.O. 21:30)
休|毎週水曜・第2・第4木曜・日曜(祝日等の場合最終日)ディナー
@toe_bar.and.restaurant

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絹屋商店

蔵に宿る、
織物と手しごとの記憶。

富士吉田は、平安時代の書物にもその名が記される織物の産地。かつて織物産業で栄えた時代、下吉田の「絹屋町」と呼ばれる地区には多くの問屋が軒を連ねていた。その地名を受け継ぐ〈絹屋商店〉は、富士吉田の機屋が手がけるファクトリーブランドをはじめ、富士五湖周辺や海外で活動する作家による工芸作品、雑貨、洋服などを扱うセレクトショップだ。築80年の蔵を改装した店内には、蔵で眠っていた古道具や古材を再利用した什器が並び、静かな温もりを感じさせる。織物のまちの記憶を受け継ぎながら、新しい感性と手仕事が息づく一軒。

住|山梨県富士吉田市下吉田2-1-25(KURA HOUSE内)
電|0555-28-6475
営|10:00〜17:00
休|月〜木曜 ※不定休あり
@kinuyashoten

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SARUYA HOSTEL

暮らしと表現が交わる、
やすらぎの宿。

築90年の古民家を改装したホステル。地域活性化の一環として誕生したこの宿は、木の香りとやわらかな自然光が心地よく溶け合い、どこか懐かしい静けさに満ちている。富士吉田で三代続く織物メーカー〈テンジンファクトリー〉のベッドリネンを使用するほか、アメニティには河口湖町に工場を構える〈松山油脂〉の製品を採用。地域の手仕事と美意識が細部まで息づく。国内外のクリエイターが滞在し、暮らしのなかで制作に向き合うアート・イン・レジデンスも併設。芸術と生活が溶け合う宿で、まちと人の気配に触れるひとときを。

住|山梨県富士吉田市下吉田3-6-26
電|0555-75-2214
@hostelsaruya

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kagelow Mt.Fuji Hostel 

時を重ねた木と光が織りなす、
心地よい滞在空間。

富士吉田の賑わいを抜けた先、富士河口湖町の住宅街に静かに息づくホステル。築90年の古民家をリノベーションし、“和”の美意識と現代的なデザインが心地よく調和する空間だ。個室からドミトリーまで多様な客室が揃い、一人旅からグループまで幅広く利用できるのも魅力のひとつ。天気のいい日には、窓の向こうに富士山の姿がのぞく。敷地内には〈toe BAR & RESTAURANT〉を併設し、地元食材をふんだんに使用した料理やコーヒー、クラフトビールを提供。静けさと温もりのなかで、富士のめぐみを存分に味わって。

住|山梨県南都留郡富士河口湖町船津3111-1
電|0555-72-1357
@kagelow_mt.fuji_hostel

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KURA HOUSE

古い蔵に灯る、
まちの新しい営み。

時を重ねた建物がいまも多く残っている富士吉田。本町通りから一本入った路地に佇む文化複合施設〈KURA HOUSE〉もそのひとつ。築80年の2つの蔵と、その間に建つ母屋を2022年にリノベーション。奥の蔵はイベントスペースに、母屋にはカフェ〈蔵の台所〉を設け、2024年7月には、手前の蔵に〈絹屋商店〉が加わった。伝統的な織物産業と現代アートが交わる芸術祭「FUJI TEXTILE WEEK」の会場になるなど、地域の記憶と創造が交わる舞台となっている。まち歩きに疲れたら、カフェで一息つくもよし。新しいまちの鼓動を感じに、富士吉田を訪れるたびに足を運びたい一軒だ。

住|山梨県富士吉田市下吉田2-1−25
営|絹屋商店/10:00〜17:00、蔵の台所/12:00〜16:00
休|月〜木曜

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グルメ, おでかけ


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