雨の日こそ 音楽を《音楽日々帖》


 「雨が降った それもいいだろう 本が読める」とは、武者小路実篤が残した言葉です。何かとお天気に悩まされる季節ですが、雨の日だからこそじっくり向き合えることってありますよね。今月は、雨の日に聴きたいとっておきの音楽を選びました。

 まずは頭を空っぽにしてその世界観に浸って欲しい、角銅真実『ヤーチャイカ』。耳元でささやかれて目を覚ますような恍惚のワルツ「Dance」で始まり、静謐かつアヴァンギャルドに展開していきます。「雨の日は美術館に行く」というアート好きな人に猛プッシュしたい1枚です。

 フーベルの『CASAS』は、ラップが登場したり、アーバンソウルのテイストを感じさせたりと、現代のポップスとも共鳴するブラジル音楽です。優美なオーケストレーションが作品全体に花を添え、「家」というタイトルにちなんでか、モダンな邸宅の写真を使ったジャケットがまたオシャレ。このアルバムがあれば、インドアな1日も格別なものになりそう。

 そして、エレクトロニカのひんやりとした音色とアコースティックの温かさが同居する『floating pupa』。フリューゲルホルンの合いの手が、バカラックの「雨にぬれても」みたいな雨ソング「marimo」から、シャボン玉を飛ばしたくなるイノセントな晴れソング「Sunny Day Blue」へと続く流れ。電気バグパイプやオムニコードなどのユニークな楽器の音。原田知世さんの可憐な歌声など…魅力は尽きません。発売されてから10年、不思議と雨の日に聴きたくなる私の愛聴盤です。

 

角銅真実『Ya Chaika』

 かくどうまなみ。東京藝術大学出身の音楽家/打楽器奏者。ソロ活動の他、Ceroのサポートメンバーや原田知世への楽曲提供、アートプロジェクトでの制作など多方面で活躍

metro198_ongaku_inner01.jpgAPOLLO SOUNDS 2018
 

RUBEL『CASAS』

 ブラジルのシンガーソングライターRubel Brisollaがチャンス・ザ・ラッパーやフランク・オーシャンに影響を受け制作した2ndアルバム。2018年ラテングラミー賞のノミネート作metro198_ongaku_inner02.jpgTHINK! RECORDS 2019
 

PUPA『floating pupa』

 2007年の夏、高橋幸宏を中心に、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦という日本音楽シーンのトップランナーたちで結成されたバンドによるファーストアルバムmetro198_ongaku_inner03.jpgEMI MUSIC JAPAN 2008






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