個性派俳優の山田孝之が1人掛けのソファに座って延々としゃべり倒す背後で、イラストやら文字やらが3D(立体視)で流れるという、これまでの映画の常識をはるかに超えた作品。ドキュメンタリー作家の松江哲明監督と「リンダリンダリンダ」の山下敦弘監督が共同で手がけている。
インタビューに応えて山田が語る内容は、主演映画「凶悪」撮影時のエピソードに絡めた深い演技論もあれば、女優の長澤まさみに初めて会ったときに胸がときめいたといった緩い話まで、振り幅が大きい。しかも何となく嘘っぽい話もあって、見ているうちにどこまでが本当でどこを脚色しているのか分からなくなる。この虚実皮膜がこの作品の肝だろう。
しゃべりに合わせて流れる映像には、アニメーションと山田本人が合成で共演するといったものもあり、手間も費用もかかっていることがうかがえる。その割には広く共感を得られるとも思えず、極めて挑戦的な企画を劇場公開まで通した英断に感心する。16日、東京・TOHOシネマズ新宿などで公開。