「お金でも愛情でも、まずは自分から出す。与える。そうすれば、出した以上のものが返ってくる」と信じて、どんどんお金も愛情も与えているのに、お金は減る一方だし、愛してももらえない、という話を聞くことがあります。
お金持ちについては、「本物の金持ちはケチ」とか、「本物の金持ちは、物ではなく、経験や人を喜ばせるためにお金をつかう」など、いろんな説がありますよね。芸者時代は、何十億も貯金のある方が、ATMの数百円の手数料に抗議しているのを見たこともあれば、そっと喜捨する場面を見たこともありました。でも、やみくもに与え続けたことでお金持ちになった方にはお目にかかりませんでした。ケチなタイプのお金持ちも、おおらかに施すタイプのお金持ちも、「納得しないことにはつかわない」という信念は共通のもの。ケチタイプは、無駄なことにはお金を出さないし、出す場合には納得がいくう考えのもと、お金をつかう。どちらのタイプも、よくわからないことによくわからないままお金をつかわないし、「お金を出す」という行為に、不安や不満が貼りつくこともありません。価値あるものにつかっているという自負があるので、お金を出すときは「いい気分」なのです。
「本当は、お金を出すのは怖いし負担。でも、出しさえしたら返ってくる」という気持ちでは、お金でも愛情でも、戻ってくるものはほとんどないのではないかと思います。お金や愛情といったエネルギーは、本当に価値を感じることに注ぐ。「惜しい」「嫌だ」と思うことに無理してつかわない。与えるときに、どんな気持ちを込めたかを自覚する。自分が出したものや、そのときの想いが世の中を循環すると考えて、豊かな気持ちで決めていきたいものですね。