photo: Keiko Ichihara styling: Takuma Kano hair&make-up: Yuri Sawako text: Eri Watanabe(EATer)

吉岡里帆《プロフェッショナルの肖像「PRO-FILE」》


彼のことを、もっと知りたい

 わずか10年という短い期間に、約3千点ものドローイングと千点以上の絵画作品を残したジャン=ミシェル・バスキア。彼の作品約130点を展示する『バスキア展 メイド・イン・ジャパン(以下 バスキア展)』が、現在六本木で開催されている。音声ガイドを務めるのは、女優・吉岡里帆。彼女に、バスキアとその作品の魅力を聞いた。

 「彼の部屋は、壁や冷蔵庫など、ありとあらゆるものに絵が描かれていて、まるで美術館のようだったそうです。絵を描き続け、ストリートから這い上がっていく。そんな彼の生き方そのものが“アート”だったのではないかと、私は感じています。彼は、27歳の若さで亡くなっているにもかかわらず、たくさんの絵を描いています。しかもそれを楽しみながら描いていた。そんなバスキアの人となりを表すエピソードは、印象的ですね」

 音声ガイドには、初挑戦という彼女。自分なりに工夫したことを次のように語る。

 「作品を見る時間や歩くスピードは一人ひとり違います。音声ガイドは、あくまで作品の魅力を届ける役割なので、見ている人を置き去りにしないスピードで、ゆっくりと語りかけるように心がけました。作品の解説はもちろん、バスキア自身の生き方にも触れています。彼が生きた証しともいえる詩を紹介したり、彼の人間性を、作品を通して感じられるような内容になっているはずです」

 世界各地のコレクターや美術館の協力により実現した今回の展示は、国内の展示として過去最大規模。存分に作品の世界観に浸ることができる。

 「作品の背景を知ると、よりバスキアのエネルギッシュさや作品の繊細さを味わうことができて、私自身、もっとバスキアを知りたくなりました。現代アートが難しく感じる人にもその魅力が伝わるように、この展示では、音声ガイドが全員に貸し出されます。休日やお仕事終わりなど、気軽にその魅力に触れてみてほしいです」

 

よしおか りほ

 1993年1月15日、京都府生まれ。2013年から女優として活動開始し、NHK連続テレビ小説『あさが来た』で一躍注目を集める。映画やドラマ、CMなどで活躍し、2018年エランドール新人賞を受賞。主演を務める映画『見えない目撃者』は現在公開中。


 

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ジャン=ミシェル・バスキア Untitled, 1982 Yusaku Maezawa Collection, Chiba Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』

森アーツセンターギャラリーにて2019年11月17日(日)まで開催
問い合わせ:[TEL] 03-5777-8600( ハローダイヤル)
www.basquiat.tokyo


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