photo: Kaori Nishida styling: E Yuriko hair&make-up: Yumi Narai text: Eri Watanabe(EATer)

杉咲 花《プロフェッショナルの肖像「PRO-FILE」》


ひとくくりにはできない魅力

 鮮やかな色彩とうねるような線で描かれた風景画や人物画で世に知られる、オランダが生んだ画家フィンセント・ファン・ゴッホ。彼の出発点は、風車や田園風景、人々の素朴な暮らしを描く「ハーグ派」にあった。その後、原色の絵の具を活かした手法の「印象派」との出会いから、独自の画風へと変化していったという。そんなゴッホの初期から晩年にいたるまでの作品と、彼に影響を与えたハーグ派と印象派の代表作が一堂に会した『ゴッホ展』。この音声ガイドを担当した女優・杉咲花は、ゴッホについてこう語る。

 「ゴッホのことについては、これまであまり知識がありませんでしたが、とても壮絶な人生を送っていたことを知って驚きました。不器用だけれど好きなことに一生懸命向き合っていた人、という印象です。私もなんでも器用にできるタイプではありません。これ!と思ったらのめり込んでいくところは、ゴッホと少し似ているかもしれません」

 音声ガイドでは、弟・テオとの手紙を引用しながら、ゴッホの“人生を変えた出会い”を、作品の見どころとともに紹介している。その手紙の中で、杉咲が感じたこととは。

 「ゴッホの手紙は、楽しくなったり、ちょっと切なくなったり。読んでいて恥ずかしくなってしまうほどドラマチックな表現もあったりして、『もっと読みたい!』と感じさせられる内容です。ゴッホにとってかけがえのない存在だったテオや、ハーグ派、印象派との出会い。それらが、同じ人物が描いているとは思えないゴッホの作品を生み出しているのかと思うと、ひとくくりにはできない魅力を感じます。ゴッホをまだ深く知らない人も、新しい視点から作品を楽しんでもらえたらと思います」

 わずか10年間という短い画家活動の中でゴッホが生み出した絵画は、今も多くの人々を感動させている。この機会にぜひ、その魅力を身近に感じてみてはいかがだろうか。
 

すぎさき はな

 1997年10月2日、東京都生まれ。映画やドラマ、CM、ラジオなど、多方面で活躍する。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では、第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。現在、出演している映画『楽園』が絶賛公開中。


 

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フィンセント・ファン・ゴッホ
《糸杉》1889年6月 油彩・カンヴァスメトロポリタン美術館
Image copyright © The Metropolitan Museum of Art. Image source :Art Resource, NY

『ゴッホ展』

ゴッホの作品のほか、ハーグ派と印象派の作品を展示。音声ガイドは、兄弟の手紙を引用した作品解説となっている。
上野の森美術館にて2020年1月13日(月・祝)まで。
お問い合わせ電話番号: 03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://go-go-gogh.jp

 


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