体に残り続ける、忘れられない作品
昨年、第42回日本アカデミー賞で、新人俳優賞を受賞した中川大志。その彼が、近日公開される映画『砕け散るところを見せてあげる』に主演する。
本作で中川が演じる濱田清澄は、どこにでもいそうな大学受験を控えた高校生だ。その何げない日常は、いじめられていた年下の女子生徒・蔵本玻璃を助けたことをきっかけに動きだす。やがて2人は惹かれ合うが、同時に玻璃の残酷な秘密も判明し、物語は急展開を迎える…。単なる恋愛物語を超えた、希望と愛の物語。中川は、どんな気持ちで演技に臨んだのだろうか。
「経験を積めば積むほど、役者って小手先で演技をしてしまうことがあると思うんです。笑ったり泣いたり怒ったり。たとえその役の気持ちになりきれていなくても、それっぽいものを演じられちゃうというか。でも、それって見てるお客さんにはバレちゃうんですよね。自然体が魅力の清澄を演じるためには、僕自身が演じるうえで自然体でなければいけませんでした。そのためには、自分のなかに役がちゃんと入っていないといけない。だから、すごく難しい役どころでした。清澄が玻璃に向き合ったように、僕も役者として役に向き合う大切さを感じることができた、いい機会になりました」
今年22歳を迎える中川は、10歳でデビューしてからさまざまな役に挑んできた。そんな中川にとっても、この作品は忘れられない一作になったという。
「いろんな役を演じてきて、ここを鍛えないといけないなとか、技がついたなというように、演技をする成果や目標を、『筋肉』みたいに感じることがありました。でもこの作品は、『血液』のように感じられたんです。血液って、当たり前のように体の中で流れているけど、なくてはならないもの。自分がどう変わろうとも、ずっと体に残り続けてほしい。僕にとって、役者として忘れちゃいけないものが詰まっている作品です」
中川の“血液”ともなった演技に注目したい。
なかがわ たいし
1998年6月14日生まれ。2010年『半次郎』で映画デビュー。主な作品に、ドラマ『家政婦のミタ』『スキャンダル専門弁護士QUEEN』、NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』などがある。映画、ドラマ、CMなど、活躍の幅を広げている。映画『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
©2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会
『砕け散るところを見せてあげる』
新宿ピカデリーほかにて近日公開。PG12指定作品。
監督・脚本/SABU
出演/中川大志、石井杏奈、北村匠海、原田知世、堤真一