ひたむきに生きる若者の姿を受け止めて
第二次世界大戦下の1945年、「核爆弾を先に開発したものが世界の運命を決める」という最終局面で、海軍は京都帝国大学物理学部の荒勝文策教授に原子核爆弾の開発を依頼する。『映画 太陽の子』は、そんな“原爆開発”を背景に、ひたむきに生きる若者たちの姿を描く。監督は大河ドラマ『青天を衝け』でも知られる黒崎博。原子の力を利用した新型爆弾の開発に携わった若き科学者の日記との出合い、10年にわたるリサーチによりシナリオを書きあげた。主演は柳楽優弥。狂気的な探究心とやさしさを持つ科学者・石村修を演じている。
「台本を読み、日本でも原子の力を利用した新型爆弾の開発が行われていた事実に衝撃を受けたのと同時に、極限状態のなかでも力強く生きた若者たちに共感し、これはやらなければならない作品だと思いました。アメリカのトップクリエイターも参加し、よいものをつくりたいという強い思いが結集した、忘れられない作品となりました」
本作では日常がていねいに描かれ、とくに修の母・フミ(田中裕子)が弟・裕之(三浦春馬)を戦争へ送り出す際の、台所のシーンが印象的だ。
「フミが台所でおにぎりをにぎっているシーンはすごく好きです。監督は、『当時の人々が本気で生きていた姿をしっかりと描きたい』と言っていました。それはどんな時代であれ、なにげない日常を生きる尊さを伝えていくことだと感じました」
修は原爆を開発すれば戦争が終わると信じ、取りつかれたように実験にのめりこんでいく。そうして我を忘れ、社会の大きな渦に巻き込まれていくような雰囲気を、「本当に怖く感じた」とも語る。
「みんなが同じ方向を向いているコロナ禍の雰囲気は、どこか戦時中と似ていて、いま、本作が公開されることに必然性を感じています。なにかを訴えるというより、『あなたはどう感じる?』と問いかけてくるような作品です。ぜひ劇場の大画面で見ていただきたいですね」
やぎら ゆうや
1990年3月26日、東京都生まれ。『誰も知らない』(2004)にて第57回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞。2021年公開の映画に『HOKUSAI』、待機作にドラマ『二月の勝者―絶対合格の教室―』主演のほか、今冬にはW主演作『浅草キッド』がNetflixで全世界同時配信予定。

©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
配給:イオンエンターテイメント
『映画 太陽の子』
8月6日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:黒崎博
出演:柳楽優弥/有村架純/三浦春馬/田中裕子/國村隼/ピーター・ストーメア