原田知世さん

プロフェッショナルの肖像 「PRO-FILE」 原田知世

音楽, カルチャー

 1982年のデビュー以来、原田知世は女優業とともに音楽活動にも取り組んできた。デビュー35周年という節目の年に届けられたのは、80年代の代表作「時をかける少女」から、90年代の「ロマンス」、2000年代以降の楽曲を、ストリングスやブラスを取り入れて、今の時代の音楽としてアップデートしたセルフリメイクアルバムだ。

 「今年はファンの方にお返しをする1年にしたいと思っていて、そのひとつとして考えたのが代表曲のリメイクでした。ここ数年、ずっと一緒にやっているメンバーと昔の曲を歌ったらどうなるんだろうって、ワクワクしながら制作することができました」

 過去の楽曲は自身にとって「古いアルバムをめくるようなもの」という。レコーディングを通じて、自身の記憶や想いもよみがえってきた。

 「昔の写真を見ると、その頃の出来事や気持ちも一緒に思い出しますよね。歌ってきた曲は、私にとってちょうどそんな存在。当時、オリジナルを聴いてくださった方も今は年齢を重ねて、昔とは違う気持ちで聴いていただけると思いますし、若い方にはどんなふうに届くのか、今から楽しみです」

 女優業に比べると、音楽活動は「よりパーソナルなもの」だという。14歳でデビューし、夢のように時間が過ぎていく中で、自分を見失いそうになったときに見つけた場所が歌うことだった。

 「原田知世というパブリックイメージが皆さんに浸透してうれしい一方で、本当の自分が消えてしまったように感じた時期があったんです。音楽はそんな私にとって、等身大の自分を表現できる場所でした。甘い物を食べたら、しょっぱいものを食べたくなるように、女優業と音楽活動の両方があったから長く続けられたのかもしれませんね」

 夏の日差しのもと、そよぐ一涼の風のような心地よさを届けてくれる本作。そこには「透明感」という言葉だけでは表現できない、歌手として音楽に向き合い続けてきた等身大の原田知世がいる。


はらだ ともよ

11月28日、長崎県生まれ。1983年に映画『時をかける少女』で映画初主演。同時期に歌手デビューも果たし、以来、女優活動、音楽活動に積極的に取り組んでいる。9月からは全国5カ所でのアニバーサリー・ツアー「音楽と私」が始まる


音楽と私』発売中

Verve/Universal Music

【収録曲】時をかける少女/ロマンス/地下鉄のザジ/ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ ほか

初回限定盤3600円、通常盤3000円



音楽, カルチャー


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