藤木直人さん

プロフェッショナルの肖像 「 PRO-FILE」 藤木直人

演劇, カルチャー

 俳優として、ミュージシャンとして、ときにはTV番組のMCとして…さまざまな顔をもちながら、活躍の幅を広げ続ける、藤木直人。近年では蜷川幸雄演出の『海辺のカフカ』、『尺には尺を』に出演するなど、舞台俳優としてもますます勢いにのっている。そんな彼の主演舞台音楽劇『魔都夜曲』が、7月に上演される。藤木にとっては初の音楽劇。まだ稽古前だという彼に、舞台への意気込みを聞いた。

 「今回は音楽劇ということで、上海のジャズクラブが舞台上に再現されます。歌や踊りに長けたキャストもたくさん出演するので、きっとドラマチックで華やかな舞台になると思います」

 物語の舞台は、1930年代の上海。フランスやイギリス、アメリカ、日本などから来た多くの外国人が行き交う、激動の時代まっただなかの租界地で、秘められた恋が描かれる。恋に落ちるのは藤木が演じる主人公・白河清隆と、演劇界で次世代の担い手として呼び声高い女優・マイコが演じるヒロイン・周紅花だ。白河は公家の血を引き、日本政府の要を担う父をもつ貴公子、紅花は中国人の父と日本人の母をもつ、秘密めいた女性。第二次世界大戦前夜、さまざまな思惑が渦巻く混沌とした状況のなかで生まれる2人の恋を、藤木はこう話す。

 「舞台となっている1930年代の上海は、今よりもずっと情報や通信手段が少なく、世界情勢も緊迫した時代。いろんな人たちがそれぞれの正義を信じて戦っていた状況のなか、自分たちの信念を超え、国境を超え、大きな障害を乗り越える愛というのは、今の時代の恋愛とは少し違う意味合いや質をもっていると思います」

 その一方で、人が恋に落ちたときの燃え上がるような感情は、いつの時代も変わらないのだと感じたそう。魔都・上海の街で、一体どのようなドラマが待っているのか。「白河は今まで演じてこなかったような、自由奔放で快活なキャラクター」と語る藤木。彼が演じる貴公子の一世一代の恋愛模様を、しっかり見届けたい。


ふじき なおひと

1972年7月19日、岡山県生まれ。早稲田大学卒業。在学中に映画『花より男子』の花沢類役に抜擢され、1995年俳優デビュー。並行して音楽活動もスタートし、1999年にCDデビュー。映画、ドラマ、舞台、音楽、司会など、多岐にわたり精力的に活躍中


cube 20th. presents 音楽劇『魔都夜曲』

7月7日(金)〜29日(土)までBunkamuraシアターコクーンにて上演。8月より愛知、大阪へ巡回予定。作:マキノノゾミ 演出:河原雅彦 出演:藤木直人/マイコ/小西遼生ほか



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