《入谷》記憶をつなぐ入谷のカフェで、新しい食体験を

グルメ, おでかけ

メトロポリターナ編集部が、東京メトロ沿線で見つけたいろいろなことを気ままにご紹介。今回は、コーヒー好きな関根が、歴史ある銭湯の面影が残る入谷のカフェを訪れてみました。

 

入谷/レボン快哉湯

時代の変化にともない、惜しまれつつも幕を閉じる店はたくさんあります。入谷で90年近く地域の人々に愛されてきた銭湯の快哉湯(かいさいゆ)も、そのひとつでした。閉店したのは2016年。けれどその場所は、再び生まれ変わります。2020年7月に、レボン快哉湯という名で、カフェとして歩みはじめたのです。木札のロッカー、体重計、番台など、1928年に建設された当時の面影が残る、その古きよき佇まいに惹かれ、店に足を運んでみました。

 

「体験」を商品として売りたい

「入谷で店をやるからには、強い個性が必要だと思いました。おいしいコーヒーが飲めるだけではインパクトに欠けるし、ほかの店と同じようなことはしたくなかったんです。そこで、体験を商品として売ることにしました」。そう話してくれたのは、レボン快哉湯の店主、安田直樹さん。実際に店を訪れると、来店している方はみなさん、店内を見渡したり、安田さんと会話をしたり、店内を歩いて見学したり…各々の時間を楽しんでいることが伝わってきます。

 

「おいしいものをつくって売りたい、というよりも、体験をつくって売りたい。そして、できるだけ、パッケージとしての体験を提供したいと思ったんです。たとえば、アイスとコーヒーを提供する際に使っているプレートは、デザイナーと話し合いながらオリジナルでつくったものです。天然の木を使っているので、同じものは2つとありません。アイスに使う素材は、ブルーベリーアイスであれば、僕が実際に農園に行き、おいしいと感じたものを、農家さんに届けてもらって使っています。コーヒーも、それぞれのアイスに合うものを厳選しています。高級品や有名なもの、ということではなく、アイスにいちばん合う豆。なので、単品としてのおいしさだけではなく、一緒に楽しむ体験を、ぜひ味わってほしいです!」

 

ひとつひとつのメニューや器を、この空間と一緒に味わう。すると、さまざまな要素を組み合わせることで生まれるおもしろさに触れることができます。レボン快哉湯は、そんな新しい食体験も楽しめる場所なのです。

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「ブルーベリー&エチオピア」 980円(税込)

レボン快哉湯のメニューのコンセプトは“マリアージュ”。たとえばアイスとコーヒーのセットであれば、「それぞれ味わったあと、残ったアイスにコーヒーをかけて食べるのをおすすめしています。毎回説明するのは嫌がられてしまうかなと思い、カウンターでお話しできるお客さんにこっそり伝えることが多いのですが(笑)」。

今回私が注文したのは、「ブルーベリー&エチオピア」。アイスはなめらかな口当たりで、ブルーベリーの味が濃く、コーヒーにもとてもよく合う。混ぜ合わせれば、コクのある複雑な味わいに。アイスは季節によって種類が変わるため、そのときどきのマリアージュを楽しむことができます。レボン快哉湯ならではの新しいマリアージュを、ぜひ体験してみてください。

 

当時の面影を、いまに

レボン快哉湯のコンセプトは「記憶をつなぐカフェ」。外観や内装に限らず、店内のいたるところに、記憶をつなぐ要素を見ることができました。

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《FUJI ROYAL》の1980年代の焙煎機

「レボンの焙煎機は、元同僚が使用していたもの。その友人は千葉県をドライブ中に、たまたま立ち寄った喫茶店でこの焙煎機と出会ったそうです。長年地元の人に愛されてきたお店だったらしいのですが、なんと訪れたその日に閉店だったそうで。焙煎機を捨てるか売るか迷ってる、という話をマスターから聞いて、コーヒーを職にしているわけでもないのに即決で買ったみたいです(笑)」

 

こうして招かれたヴィンテージの焙煎機。千葉で出会った喫茶店の物語は、第二章として、入谷という街で続いていくことでしょう。

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安田さん厳選のコーヒー豆は、自宅用にも、お土産にも

 

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コーヒー豆が入ったパッケージデザインのモチーフとなっているタイル

「アイスによってコーヒーの種類も変えるので、販売する豆もその都度入れ替わります。豆のパッケージに描かれているモチーフが店内のどこかにあるので、探してみてください」と教えてくれた安田さん。来店した際には、モチーフとなっているタイルの場所を探してみるのも楽しいですね。

こうして、さまざまな場所の記憶をつなぎながら、新たなかたちで幕を開けたレボン快哉湯。私も、ここでの食体験を通して、記憶に残る素敵な時間を過ごしたひとりです。この先も、レボン快哉湯での体験が、人々の記憶となって、未来へつながっていくといいなと思いました。


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RÉBON KAISAIYU

台東区下谷2-17-11
[TEL]03-5808-9044
[営]月〜木 12:00〜19:00
   土・日・祝 10:00〜19:00
[休]金
https://www.rebon.jp


関根栞(せきね しおり)

メトロポリターナ編集部員。趣味は映画と旅。好きなものはカフェラテ。海外に行きたい気持ちをおさえながら、映画を見て過ごしています。




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