福島県の海岸で行われた清掃活動。スティーブン・グリーン氏(中央)と、宮崎秀樹JT副社長(左)、内堀雅雄福島県知事

音楽の力をボランティアにつなげる「RockCorps」の思い!


 アメリカで始まった社会貢献型イベント「RockCorps(ロックコープス)」が現在、日本で開催されています。

 4時間のボランティア活動をすることで有名アーティストらが出演するライブを無料で観覧できるという「ロックコープス」は、人と企業と地域社会を音楽の力で社会貢献に結びつけたもの。これまで、アメリカやイギリス、日本など世界10カ国で約17万人以上を動員し、計17万時間以上の活動が行われてきました。

 ソーシャル・プロダクション・カンパニー「ロックコープス」を設立し、音楽の力で人々を社会貢献に導くイベント「ロックコープス」を世界に広げた最高経営責任者(CEO)のスティーブン・グリーン氏がこのほど、福島県でのロックコープスの活動に参加するために来日しました。

 長身で長髪のグリーン氏は、とても穏やかで優しい雰囲気を漂わせている男性。ロックコープスの活動を考え出したのは、アメリカで2011年に起きた同時多発テロ「9.11」がきっかけだったといいます。当時、ミュージシャンだったグリーン氏は、友人と何かできないか、社会のために多くの人が関わる何かがほしい、と考えたとのこと。

ロックコープスについて思いを語る、創設者のスティーブン・グリーンさん


 まず、ニューヨークで活動を立ち上げ、アトランタ、ロサンジェルスと活動の場を広げていきましたが、当初は不安で一杯だったそうです。「ボランティアの受け入れ先を探し依頼する際にも、始めは何のプロジェクトだと怪しがられることもありました。趣旨を説明し、全ての手配はロックコープスでやるので、ただボランティアを受け入れてほしいとお願いして回りました」。

 やがて、活動をイギリスに広めようとしたとき、一切の当てがありませんでしたが、友人の友人を紹介してもらい、つてを頼って音楽家や企業などにたどり着き、開催にこぎつけました。しかし、イギリス国内の反発はアメリカより強かったそう。「純粋な気持ちからボランティアに参加しているのではない、コンサートを観たくてやっているに過ぎないのではないか」という批判が強かったそうです。

 イギリスはボランティアに対する意識が高い国ですが、若者(16~24歳)で何らかの形でボランティア活動に携わったことがあるという人は全体の約40%。ロックコープスに対して、批判をする人たちにグリーン氏が言ったことは「あと60%の若者を巻き込んだ何かをやってみたくないですか」。

福島県のキャラクターと一緒に


 ボランティアへの関心が低い日本で、ロックコープスの活動がスタートしたのは 14年。 東日本大震災がきっかけとなり、福島県から始めましたが、震災から3年が経っていました。「災害時に一番大切なのは、食事・水・衣服。しかし、人生において幸福を感じるのは、アート、音楽、ファッションなどのカルチャーやスポーツです」と震災から数年後に活動を始めた理由を語りました。「人とのつながりを感じられるものが、生きていると感じられるものだと思います。音楽は人と人をつなげるもの。ボランティアも人をつなげるものです。この2つの要素がつながるとより強いものが気づけます」。

 先日、福島県相馬市の原釜尾浜海水浴場で、海岸清掃ボランティアが行われ、グリーン氏も参加。来夏の再開を目指すこの海水浴場で、海岸に散らばった流木やゴミを参加者たちと拾い集めていたグリーン氏に、 3人の若者が「福島にロックコープスの活動を持ってきてくれてありがとう」と話しかけてきました。

海岸で流木を取り除く作業をする参加者


海岸に散らばっていた流木を集め、運ぶ参加者たち


 今年からロックコープスの活動の場は福島だけでなく、首都圏にも広がりました。4年前、日本でロックコープスを開催したときには、「ボランティアとは、ロックコープスとは何かを説明しなければなりませんでしたが、今は説明しなくても理解してもらえると感じています」。

 グリーン氏いわく、「ボランティアとは、人とのつながり、信頼関係が生まれ、幸福感が生まれるもの」。興味のある人は、公式サイトまで。

公式サイト http://rockcorps.yahoo.co.jp


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