ヘアスタイリストとして世界で活躍する河野富広氏の作品集「HEAD PROP studies 2013-2016」の刊行に合わせた展覧会『THE STUDY OF NEW HEAD DESIGN』が8月27日(日)まで、渋谷区恵比寿南のアートブックショップPOSTと渋谷区東のギャラリー(PLACE) by methodで開催されています。
ヘア表現の延長線上に《ヘッドプロップ(ヘッドピース)》という新しいジャンルを確立し、頭のデザイン表現の可能性を試すべく独自の道を切り開いてきた河野氏は1980年の愛媛県生まれ。美容師として約10年間、日本でヘアカットの技術を磨く傍ら、結髪(けっぱつ)の手ほどきも受け、2007年に渡英。セッションヘアスタイリストとして、海外のファッション誌やアート誌での仕事をしながら、ヘッドプロップアーティストとしても注目を浴び、さまざまなアーティストとコラボレーションを行ってきました。
10年には、ロンドンファッションウイークで、自身プロデュースによる初めてのhead prop collectionのパフォーマンスショーを披露し、「Dazed & Confused」や「Another」など多くのメディアが注目。11年には、〝NEWS WEEK JAPAN 世界が尊敬する日本人25人〟の1人に選ばれました。
13年からは米ニューヨークに拠点を移し、14〜16年までの間、JUNYA WATANABE Comme des garçonによるショーのヘッドデザインなどを手掛けました。
河野氏によると、当初は、羽毛や釘、レースやレザー、クリスタルなど頭に合いそうな素材からインスピレーションを受けてヘッドプロップを制作。しかし、「これではどこかで見たことのあるものしか生まれない」と、それまでの素材ありきの手法を捨て、まずは新しい形そのものを探る手法に変えることで自身のスタイルを一新しようと試みました。そうすることで、頭の形にとらわれない斬新な形のデザインを作ることが可能になりました。 会場では、主にファッションショーのランウェイというステージに現れた実物のヘッドプロップをインスタレーションとして展示。ビニールやスポンジなど、さまざまな素材で作られたヘッドプロップは、一見 頭の装着物に見えないものもあり、見るものに新しいデザインとは何かを問いかけているようです。
この展覧会と連動して、渋谷区東のギャラリー (PLACE)by methodでは8月26日(土)まで、河野氏のヘッドプロップを人間が被ったときの形が分かるポスターなどを展示。作品のコンセプトとクリエーションプロセスが理解できるようになっています。
もちろん、河野氏が力を注いで制作した作品集「HEAD PROP studies 2013-2016」を見れば、彼の作り出す世界の全体像を知ることができます。
頭という制約の中でも自由な発想でヘッドプロップのプロタイプを制作。その後、軽さなどの機能性を重視した素材選びや衣装とのペアリングなど考えながら作品を作り上げていくという河野氏。会場へ足を運び、世界が認める斬新な〝Kono World〟を体感して下さい。
THE STUDY OF NEW HEAD DESIGN
会場:POST(渋谷区恵比寿南2-10-3)
会期:8月27日(日)まで
営業時間:12:00~20:00
クロージングパーティー:26日(土)18:00~20:00
月曜定休
入場無料
(PLACE)by method
住所:渋谷区東1-3-1 カミニート#14
開廊時間:12:00~19:00
Tomihiro Kono [HEAD PROP studies 2013-2016]
著者:TOMIHIRO KONO
出版社:Konomad Editions
ページ数:232ページ
価格:7600円(税別)