誕生50周年記念
ベルサイユのばら展 ーベルばらは永遠にー
1972年4月から少女漫画誌で連載を開始した『ベルサイユのばら』。その誕生50周年を記念して、華麗なる展覧会が開催!
9月17日(土)〜 11月20日(日)
東京シティビュー
(六本木ヒルズ森タワー52階)
【みどころ】
原画約180点
カラーイラストや当時としては珍しい2色、4色の貴重な原画など、連載当時の原画約180点を物語に沿って展示。物語の魅力はもちろん、いきいきとした美しく力強い線や胸に染みるセリフも楽しめる。また、40年ぶりの新刊として話題となった『ベルサイユのばら エピソード編』の原画も公開。池田氏の作品に込めた思いや、連載の舞台裏などのエピソードも紹介し、より深く「ベルばら」の世界を体感することができる。そして見逃せないのが、オスカルが生涯でただ一度だけ身にまとったドレスの展示(2007年制作)。文化服装学院オートクチュール科の学生たちが制作したこのドレスは、光沢を放つ絹の生地や数千個のビーズがあしらわれ、あの名場面が目の前に蘇るようなコーナーになっている。
1972年『週刊マーガレット』21号表紙のカラーイラスト
『ベルサイユのばら』完全版4巻より
オスカルのドレス展示イメージ
すべて©池田理代子プロダクション
ベルばらワールドへと誘うエントランス
会場エントランスには、ベルサイユ宮殿をイメージした優雅な回廊があり、オスカル、マリー・アントワネット、フェルゼン、アンドレなどのパネルを展示。後ろの窓面にも登場人物たちが宮殿に飾られた肖像画のように並び、東京の空と融合して一気に「ベルばら」ワールドへ!
エントランス展示イメージ©池田理代子プロダクション
宝塚歌劇の舞台衣装や小道具
2014年には通算観客動員数500万人を記録した、宝塚歌劇の代表作「ベルサイユのばら」。本展では、オスカルとアンドレが愛を誓いあう名場面「今宵一夜」の舞台となる「オスカルの居間」コーナーで、舞台衣装や小道具も展示。演出家の作品への想いなども紹介する。
宝塚歌劇「ベルサイユのばら─アンドレとオスカル編─」1989年雪組公演©️宝塚歌劇団
「ベルばら」をめぐる50年間のモノ・コト
連載開始から半世紀の間、絶え間なく話題を提供してきた「ベルばら」。本展では、2005年に朝日新聞土曜別刷り「be」で連載された池田理代子氏本人によるコメディタッチの4コマ漫画『ベルばらKids』、海外各国で翻訳・出版された書籍、また懐かしのお宝グッズや、さまざまな企業とのコラボアイテムなど、「ベルばら」をめぐる50年間のモノ・コトも展示される。
海外翻訳コミックス表紙
おしゃれセット
小学館『小学三年生』(1990年/1・2月号)に掲載のフォト絵本「ジェニーのベルサイユのばら」用に製作された人形
すべて©池田理代子プロダクション
TVアニメの貴重な資料
「ベルばら」のアニメ化は、1979年。監督にTVアニメ「巨人の星」を手掛けた長浜忠夫氏とTVアニメ「あしたのジョー」の出﨑統氏、キャラクターデザインは荒木伸吾氏・姫野美智氏と、豪華スタッフが結集して制作された。近年ではCOMPLETE DVD BOOKが発売されるなど、いまも根強い人気を誇る。本展では、そんなTVアニメのセル画も展示。演出の特徴やみどころなども解説していく。
TVアニメ「ベルサイユのばら」 ©️池田理代子プロダクション・TMS
展覧会オリジナルグッズも見逃せない!
本場ヴェルサイユで栽培されたばらやりんごのアロマを使う紅茶ブランド「ニナス」のベルばら限定コラボティーやハート缶に入った「メサージュ・ド・ローズ」のばらのチョコレート、マリーアントワネットがばらと一緒にポップアップするカードなど、食品から文具まで『ベルサイユのばら』の華麗なる世界をイメージした様々なグッズがそろう。
©NINA’S MARIE-ANTOINETTE
©池田理代子プロダクション
【CAFE&RESTAURANT】
マリー気分でアフタヌーンティーも
展示会場と同じフロアにあるカフェ・レストラン「THE SUN & THE MOON」では、期間限定のコラボメニューが登場!52階からの絶景とともに、優雅なひとときを過ごすことができる。
©池田理代子プロダクション
【INFORMATION】
誕生50周年記念
ベルサイユのばら展 ーベルばらは永遠にー
会期:9月17日(土)~11月20日(日)
開館時間:10:00〜22:00(最終入館21:00)
会場:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)東京都港区六本木 6-10-1
■当日券/前売券(事前予約制、日時指定券)
一般2,200円、学生(高校・大学生)1,600円、子供(4歳〜中学生)1,000円、シニア(65歳以上)1,900円
■早期前売券(事前予約制、日時指定券)
一般 1,900円、学生(高校・大学生)1,300円、子供(4歳〜中学生)700円、シニア(65歳以上)1,600円
※9月16日までの期間限定で販売する、当日券/前売券より300円お得なチケット
※入館対象期間は2022年9月17日~10月31日まで
「ベルばら」との出合い
文 産経新聞記者 道丸摩耶
実家の本棚には、すっかり日に焼けてしまった2冊の分厚い漫画本が今も大切にしまわれています。帯には、当時の宝塚のトップスターの顔がずらり。この「ベルサイユのばら 愛蔵版」全2巻がわが家にやってきたのは、忘れもしない1991年夏のことです。
「ベルばら」との出合いを導いてくれたのは、「宝塚歌劇」でした。知人の娘さんが同年の月組公演「ベルサイユのばら オスカル編」で初舞台を踏み、その縁で母が初めて宝塚を見に行ったのです。帰宅した母は「この世のものと思えないほど美しかった」と大興奮。テレビで映像を見た中学生の私も、すぐに母の後を追いました。「わたしの存在など巨大な歴史の歯車のまえには無にもひとしい」「見果てぬ夢よ、永遠に凍りつき、セピア色の化石ともなれ」などの格調高い言い回しに、さすが宝塚、と親子で感心したものでした。
ところが、これらのせりふは宝塚のオリジナルではなく、原作の漫画にあるというではありませんか。当時は「週刊少年ジャンプ」が発行部数600万部を超え、少年漫画の全盛期。少女漫画になじみは薄かったのですが、母に頼んで買ってもらったのが、冒頭の愛蔵版です。
ラブロマンスと思いきや、内容は骨太なフランス革命史。男装の麗人オスカル、従者のアンドレといった架空の人物と、マリー・アントワネットやフェルゼンら実在した人物が自然に交差する巧みなストーリー展開。少女漫画の概念を飛び越えた壮大な歴史絵巻に、ページをめくる手が止まらなくなり、同時に彼らの過酷な運命に涙しました。特にオスカルとアンドレが思いを通わせるシーンは、何度もめくったせいか、開き癖がついてしまったほどです。
2組の男女の悲恋を主軸にしながらも、作品から伝わってくるメッセージは、自分の人生を生ききる勇気と覚悟、そしてそこから生まれる希望でした。革命を推し進めた者たちにも、古き時代を守ろうとした者たちにも、等しく注がれる愛情あるまなざしが余計に、歴史の非情さを際立たせます。
この偉業をなしとげたのは、当時24歳だった池田理代子さん。必死にペンを執り連載を続けたその姿は、時代を変えようと命を燃やした作中の革命家たちに重なります。そして、この作品を支持したファンの情熱が、「ベルばら」を後世に残る名作に押し上げたことも忘れてはなりません。
半世紀もの時を女性たちに寄り添い続けた「ベルばら」の展覧会が、いよいよ開幕します。作品を知って30年たつ私も、いまだ登場人物のせりふをしっかり思い出せるあたり、青春時代に刻まれた記憶は深く、色あせることはありません。
50周年は通過点。マリーやオスカルのようにドラマチックではないけれど、自分ひとりではままならぬ人生を生きるすべての人にとって、「ベルばら」はこれからもバイブルであり続けるでしょう。