2020年に、本社機能の一部を兵庫県・淡路島に移転したことで話題となったパソナが、産婦人科医の高尾美穂先生とタッグを組み、企業の健康経営・女性活躍推進担当者などを対象に、淡路島で初の「女性の健康サミット」を開催した。2日間にわたり、働く女性が抱えやすい健康課題や職場での支援方法を議論しあうほか、禅や、ヨガ、健康的な禅坊料理を通して、参加者の心と身体の健康を促進する本プログラム。自身が所属する企業のよりよい環境づくりのヒントを見つけに、全国から9名の女性が参加した。大自然に身を置く“非日常”の空間で、女性の健康をテーマにとことん向き合った、マインドフルネスな体験の詳細をレポートする。

■大自然に囲まれて 衣食住、究極の“リトリート”体験
日本発祥の神話が残る淡路島は、はるか昔には御食国(みつけくに)と呼ばれ、食材の宝庫としても有名だ。青い海に、緑豊かな山々、美しい自然に囲まれている。サミットの舞台となった禅リトリート「禅坊 靖寧(ぜんぼうせいねい)」は、建築家の坂茂氏が設計し、昨年誕生したばかり。早朝から暮れまで、鳥のさえずりが絶えず、360度に広がる淡路島の折々の景色を眺めながら、禅やヨガ体験ができるなど、日常の喧騒から離れ、自然の豊かさを感じながら自分を見つめ直す「リトリート」のための施設だ。企業や団体などの貸し切り利用も多く、今回のサミットでは、参加者自身が、自分とも向き合いリラックスできる時間を大切にできるよう、さまざまな工夫がされていた。



■「女性の健康支援」の課題と解決策を共有
2日間の研修では、産婦人科専門医や産業医として、働く女性の健康サポートを手がける高尾美穂先生が、働く女性が抱えやすい健康課題や職場での支援方法等について紹介するほか、参加者が考える所属する企業内での健康課題について共有するとともに、その解決策を提案・発表するグループワークを実施した。
プログラムのはじめには、パソナ社員による「水曜劇場」と題した即興劇で、職場に潜む「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」を再現。劇をみて、参加者同士で、偏見が起きてしまう背景などについて議論した。

その後、自身が所属する企業で行われている、女性の健康支援について発表しあったり、他社の事例を聞いて、どんなことが身の職場にいかせそうかシートにまとめたりと、個人ワークとグループワークを繰り返した。働く女性のよりよい環境づくりのために、「やめたいこと」「課題」「ありたい姿(個人・日本全体)」をそれぞれ付箋に書いて共有しあった。部署の違う女性社員同士が悩みを共有しあえる「シスター制度」など、企業によってもさまざまな取り組みがなされていることがわかった。

夜の部では、高尾先生から「なぜいま女性の健康支援が必要なのか」や「昭和の価値観で育った男性との向き合い方」など、女性の健康支援に向けて日々悩みが絶えない参加者の“モヤモヤ”を解消する、熱いセミナーが行われた。

最終日は、2日間を通じて、高尾先生、そして主催のパソナ、参加者全員が、さまざまな討論を経て、参加者ひとりひとりが学んだことや、明日からのアクションを発表しあった。

今回の企画には、パソナから2名の男性社員も参加した。常務執行役員で、メディカル健康経営本部長の板橋光一さんと、メディカル健康経営本部、副本部長の佐川泰徳さんだ。高尾先生は講演のなかでも「管理職世代の男性を巻き込むことがとても大事」と語っていたのだが、まさに、最終日、そこにいたすべての人の気持ちが一つになった瞬間があった。
それは、板橋さんと佐川さんによる“サプライズ”だった。初日、パソナ社員が演じた無意識の偏見「アンコンシャスバイアス」の再現劇「水曜劇場」。板橋さんと佐川さんは、その“5年後”を即興で演じてくれた。2人が表現した未来の職場は女性のみならず、誰もが思いやりをもって支えあうことが当たり前になった世界。みんなで2日間、さまざまな討議を経てこそ、2人も大きな変化があったという。これには、高尾先生も、パソナの女性社員もびっくり。「こんな未来を実現させたい!」と参加者全員が笑顔で共有できた瞬間でもあった。

私も含め、参加者の9名にとってこの2日間は、じっくり自分自身と、所属する職場の課題やありたい姿、そして、日本全体のよりより未来について向き合う機会になった。この非日常の経験を、それぞれに職場に持ち帰り、きっといまも、各々が発信したり、呼びかけてみたり、少しずつ、できることからアクションを始めていると思う。私自身は、まずは、人事部に、各企業の先進的な取り組みや、そこにある想い、ここで得たことのすべてを共有してみたい。
