photo: Kaori Nishida text: Naho Sotome edit: Kohei Nishihara(EATer)

2月11日(月)まで国立新美術館で開催!『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』


没後、日本初開催となるイヴ・サンローランの大回顧展。声優の津田健次郎に本展の魅力を聞いた。


「アーティストとして
本当に格好いい人だなと思った」

 20世紀のファッション界を席巻し、「モードの帝王」と呼ばれたイヴ・サンローラン。彼は、1958年にクリスチャン・ディオールのデザイナーとして鮮烈なデビューを飾り、1961年には自身のブランドを設立。2002年の引退まで世界のファッションシーンをリードした。この偉大なるデザイナーの大回顧展が開催中だ。音声ガイドのナビゲーターを務める津田健次郎は、こう語る。

 「ディオールを21歳で背負って、4年後に自分のメゾンを立ち上げる。まず、その早咲きに衝撃を受けました。そして、いろいろなところからインスピレーションを受けて、それを洋服にしていく守備範囲の広さ。トレンドは意識しつつも、自分のやりたいことに執着し、それが逆にトレンドをつくるというエネルギー。アーティストとして、本当に格好いい人だと思いました」

 本展では、40数年の間に発表された作品の変遷を網羅したオートクチュールのルック110体のほか、ドローイング、写真、映像など貴重な資料が一堂に集められている。普段から美術展などに足を運んでいるという津田が特に実物を見てみたいと語ったのは、ウエディング・ガウンの「バブーシュカ」だ。

 「この作品は、見る人によっては笑ってしまう人もいるかもしれない。けれど、圧倒的な凄みを感じる。音声ガイドは、鑑賞の邪魔になりたくないし、見る人の想像力を縛ることもしたくない。とはいえ、ある種の空気感はあった方がいい。それらを同居させていく難しさがありました。章立てでガイドしていますが、その章を飛び越えて一緒に旅をしている雰囲気を味わえるパートもあり、普通のガイドとは一味違うものになっています。まずは作品を見て、自分の心が動くものや感じたものを大切にしていただき、その上で音声ガイドも聞いていただければと思います」

 数十年前につくられたイヴ・サンローランの作品は、いまもなお美しい。その美意識に触れ、何を感じるか、会場内で確かめてほしい。


Kenjiro Tsuda
声優・俳優。アニメや洋画の吹き替え、ナレーターなどの声優業、舞台や映像の俳優業を中心に、映画監督や作品プロデュースなど幅広く活動。TVアニメ『呪術廻戦』七海建人役、日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』鎌田國士役、TBS報道・情報番組『情報7daysニュースキャスター』ナレーションほか。


metro248_saint_laurent_1.jpg

写真:オフィスでのイヴ・サンローラン、パリのマルソー大通り5番地のスタジオにて、1986年 ⓒDroits réservés

Yves Saint Laurent
1936年フランス領アルジェリア、オラン生まれ。21歳でクリスチャン・ディオールの後継デザイナーとなり、1961年にオートクチュールメゾン「イヴ・サンローラン」を設立。2008年に71歳で逝去。


metro248_saint_laurent_2.jpg

『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』
Yves Saint Laurent, Across the Style

会場:国立新美術館 企画展示室1E(港区六本木7-22-2)
会期:開催中〜12月11日(月) ※毎週火曜日休館
https://www.ysl2023.jp





この記事をシェアする

LATEST POSTS