初夏の野菜とモリーユ茸が入ったリドヴォーのフリカッセⓒLugdunum Bouchon Lyonnais

《神楽坂》フランス人シェフの日本への思いを味わう

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 東京の小さなパリと呼ばれたり、かなり大げさに「歩いている人のほとんどはフランス人」などと言われることもある神楽坂ですが、もしも本当のフランスを感じ、味わってみたくなったら神楽坂の下から坂を昇って右側の本多横丁に佇むルグドゥノム・ブション・リヨネで食事を楽しんでみてはいかがでしょうか?

 とは言っても、この長い名前のレストランで味わうのはフランスでも、パリではなく、フランスの食文化の中心として知られるリヨンの料理。そしてリヨンはオーナー・シェフのクリストフ・ポコさんの生まれ故郷でもあります。

 ポコさんは料理人として15歳の時から働き、いくつものミシュランの星付きのレストランで経験を積み、コンクールで優勝したりしながら、20代の前半でパリ5区にあるレストランでシェフに抜擢(ばってき)されました。

オーナー・シェフのポコさんはフランスの食文化の中心として知られるリヨンの出身。ⓒLugdunum Bouchon Lyonnais

 なぜか思い立って、日本に来たのは今から20年前の3月。キッチンの中で朝から晩まで日本人と一緒に働き、満員の終電に揺られて帰るという東京ならではの経験をしたりしますが、その後は25歳という異例の若さでル・コルドン・ブルーの東京校でフランス料理を教えるようになります。さらに数年後にはフランスの世界的なホテル・チェーンから声がかかり、不忍池を見渡せる素晴らしい場所にあったソフィテル東京の総料理長となり、さらに料飲部門のディレクターという要職も務めています。

そんな素晴らしい経歴をもったポコさんが、どうしても東京でやりたかったのは、リヨンの料理を、エレガントでも堅苦しくない雰囲気の中で楽しんで味わえる空間をつくること。

 この神楽坂のルグドゥノム・ブション・リヨネの名前の中にあるブションというのは、ビストロのように気軽に食事をできる場所なのですが、リヨンのブション文化にはパリのビストロよりも長い伝統があります。

 そして神楽坂のルグドゥノム・ブション・リヨネは現在8年連続でミシュランの星を獲得していて、世界で唯一の星付きのブション、もしくは世界で初めてミシュランが星を与えたブションと言われています。

 発売されたばかりのミシュランの赤い本を手に持って毎年スタッフ全員で記念写真を撮るのがポコさんのこだわりで、そこにあるのは「星は皆んなで頑張った結果」という思いです。

 ポコさんは日本人のスタッフを大切にするだけでなく、日本という国にも強い思いをもっています。

 2011年3月11日の東日本大震災の直後、多くの外国人が日本から避難しましたが、「逃げたと思われたくなかった」と言うポコさんは日本に残り、今まで10回以上も被災地にある小学校に炊き出しに行って、暖かい料理やデザートを子供たちに振るまっています。

今まで10回以上も東北の被災地にある小学校に炊き出しに行って、暖かい料理やデザートを子供達に振るまっているポコさん。ⓒLugdunum Bouchon Lyonnais


 クリスマスの時はポコさんがサンタクロースの衣装でイチゴやチョコレートを配り、帰るときには子供たちが体育館に集まり歌を披露してくれた、という感動的なエピソードもあるようです。

 ぜひルグドゥノム・ブション・リヨネで、ポコさんの人柄に触れながら、おいしいフランス料理を味わってみてはいかがでしょうか。

 そうすれば飛行機に何時間も乗らなくても、神楽坂でフランスの食文化の中心地リヨンの味わいと雰囲気を満喫していただけるはずです。

ルグドゥノム・ブション・リヨネ

03-6426-1201

新宿区神楽坂4-3-7 海老屋ビル1F

http://www.eatpia.com/restaurant/lugdunum-bouchon-lyonnais-kagurazaka-french



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