2015年12月の第1回「琳派ロック」では、歌あり踊りありアートありとスペクタクルな舞台が展開されました=京都市上京区の京都府立府民ホール「アルティ」 (写真・田中幸美)

《京都》絵師、木村英輝がプロデュースする「琳派ロック」公演 26日~28日宮川町歌舞練場で


 「琳派」誕生から400周年となった2015年12月に行われた公演「琳派ロック」がバージョンアップして5月26日(金)~28日(日)の3日間、京都市東山区の「宮川町歌舞練場」を舞台に再演されます。
 タイトルは、「Rimpa Rock(琳派ロック)Part2 LOVE&PEACE 平らけく 安らけく 平安の都 京都より」。ロック音楽をベースに、日本の伝統芸能やダンスをクロスオーバーさせ、アートというスパイスを効かせて豪華絢爛に仕上げられた一大エンターテインメントショーです。

2015年12月に上演された第1回「琳派ロック」で繰り広げられたスペクタクルな舞台=京都市上京区の京都府立府民ホール「アルティ」 (写真・田中幸美)


 前回に引き続き総合プロデュースを担当するのは、「現代の琳派」の異名を取り、京都を拠点に国内外の約200カ所に精力的に壁画を制作してきた絵師のキーヤンこと木村英輝さんです。どんな〝キーヤンワールド〟が繰り広げられるのか楽しみです。

第1回「琳派ロック」公演で、舞台に立つ絵師のキーヤンこと木村英輝さん


 キーヤンは、今でこそ壁画絵師として知られていますが、絵師になる前はロックイベントの名物プロデューサーでした。ロックの黎明期の1960年代から40年にわたり活躍し、日本初のロックフェスティバル「TOO MUCH」や、京大西部講堂のロックイベント「MOJO WEST」など数々の伝説的なイベントを手がけました。
 絵師として独自の世界を確立したキーヤンが一昨年、再びロックイベントを手がけた際には「ずるっと昔のクセが出てきて、人を集めて何か面白いこと、かっこいいことをやりたくなったから」と話していました。

第1回「琳派ロック」公演では、キーヤンによるライブペインティングが行われ、即興でゾウの絵を描き上げました


 そして、今回は来る2020年の「東京五輪・パラリンピック」をターゲットに、「日本の芸術文化の源となる地、京都からアートで盛り上げたい」と意気込みます。オリンピックならぬアートのオリンピック「ARTPIC」(アートピック)を、2020年に向けて発信するのがねらいだそうです。

第1回「琳派ロック」公演のフィナーレで、「2020 KYOTO ARTPIC」についての協力を呼びかけるキーヤン


 「琳派ロック Part2」も前回同様、京都や関西を拠点に活躍するミュージシャンやダンサー、アーティストなど約100人が集結します。そして今回は、キーヤン自らがテーマソングとなる「平安の都 京都」と「La・La・La Love&Peace」の作詞を手がけました。
 「平安の都 京都」は、京都の四季折々の風物詩や祭、人々の暮らしを高らかに歌った〝京都賛歌〟のようなロック調の曲です。かたや「La・La・La Love&Peace」は、現在の日本をそして世界を憂い、誰もが願う究極の思いである愛と平和を歌ったバラードです。
 ちなみにサブタイルにもなっている「平らけく 安らけく」は、「平らけくやすらけく護りまつる」という祝詞(のりと)の一節に由来しているそうです。

第1回「琳派ロック」公演では、演奏に合わせてキーヤンによるライブペインティングが行われました。左は箏曲家の大谷祥子さん


 2曲を作曲したのは、関西を拠点に活動するスリーピースバンド「Chicago Poodle」(シカゴプードル/通称シカプー)のボーカルでピアノの花沢耕太さんと、B'zやZARDを世に送り出した伝説の音楽プロデューサーの長戸大幸さんの2人です。花沢さんはボーカルも担当します。
 そのほか、フランス政府から芸術文化勲章の「シュバリエ章」を受章したシャンソン歌手の和サブローさんや、京都だけでなく出身地の福島でも音楽活動を行うソウルフルなシンガー、Yammyさんがボーカルを担当。さらに尺八の三好芫山(げんざん)さんと箏曲家の大谷祥子さんらが前回に引き続きロックとの共演で聴かせます。

熱唱するシャンソン歌手の和サブローさん


パワフルでしかも、ソウルフルな歌声が持ち味のシンガー、Yammyさん


箏曲家の大谷祥子さんは、レッド・ツェッペリンの名曲「天国の階段」に新たな表現を見せました


 ダンスパートでは、日本舞踊をベースにコンテンポラリーダンスとの融合を試みる舞踏家の日置あつしさんや、マイケル・ジャクソンをリスペクトしダンスや音楽だけでなく、その生き方の継承を目指すパフォーマーの「MDP(マイケルダンスパフォーマー)Masaki」さんらが出演します。
 また、日本のロックバンドの最高位と評される「Flower Travellin' Band」(フラワー・トラベリン・バンド)の石間(いしま)秀機さんもオリジナル楽器の「シターラ」を手にステージを盛り上げます。 

舞踏家の日置あつしさん


「MDP(マイケルダンスパフォーマー)Masaki」さんは鼓との共演を果たしました


Masakiさん(右端)とダンスグループ「D-TREK」メンバーによるダンスパートでは、子供たちも熱演しました


オリジナルの楽器「シターラ」を演奏する石間秀機さん(右)とパーカッションの斎藤ノブさん


 曲目もジョン・レノンの名曲「イマジン」やエリック・クラプトンが所属していた1960年代のイギリスの伝説のロックグループ「Cream」(クリーム)の代表曲「Sunshine Of Your Love」など、オールドロックファンが泣いて喜びそうなセットリストです。
 歌あり、ロック音楽あり、ダンスあり、そしてキーヤンの巨大な絵も舞台に登場するなど一大スペクタクルな舞台となります。
 関西在住の人、あるいは今週末、京都に旅するという人は、夜はぜひ宮川町歌舞練場に足を運んで、その超豪華なメンバーが織りなす歌と踊りとアートの世界に浸ってください。
   (写真はすべて田中幸美)

◆「琳派ロック Part2 LOVE&PEACE」は5月26日(金)~28日(日)。昼の部は午後零時30分開場、1時開演、夜の部は午後4時30分開場、5時開演(26日は夜の部だけの公演)。チケットは全席自由で一般5000円。当日券を劇場窓口で購入することができます。問い合わせは☎075・254・2888(エレファント)


LATEST POSTS