これまで一度も公開したことのない壁画「韋駄天図」=京都市東山区の泉涌寺 (写真・田中幸美)

《京都》皇室ゆかりの「泉涌寺」で舎利殿と韋駄天立像を公開


 皇室のぼだい寺であることから「御寺」(みてら)と呼ばれ親しまれている真言宗泉涌寺派総本山の「泉涌寺」(せんにゅうじ・京都市東山区)で、仏牙舎利(ぶつげしゃり・釈迦の歯)を安置する聖殿「舎利殿(しゃりでん)」と俊足の神といわれる「韋駄天立像(いだてんりゅうぞう)」が18日から特別公開されます。また、3月1日~17日には舎利殿内の奥の部屋に描かれた韋駄天図の壁画を初公開します。

★「泉涌寺の韋駄天像と韋駄天壁画を公開」⑥.jpg韋駄天立像を間近で見ることができます


 天皇陛下の在位30年記念とNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」放映に合わせての公開だそうです。
 舎利殿と韋駄天立像は、仏牙舎利が同寺に伝来したとされる10月8日までの8日間限定で毎年公開していますが、通常は非公開となっています。

「泉涌寺の韋駄天像と韋駄天壁画を公開・法要」①.jpg韋駄天立像と舎利殿の公開にあたっては法要が営まれました

 

 韋駄天立像は、鎌倉時代に中国・南宋から伝わったもので、日本で最も古い韋駄天像だそうです。国の重要文化財に指定されています。
 韋駄天立像は、舎利殿の内陣で仏牙舎利を収めた舎利塔を守るように立ち、穏やかな表情で体の前で手を合わせています。台座を含まない高さは50~60センチくらいあります。

「仏牙舎利の入った舎利塔を守る韋駄天立像(右)」①.jpg仏牙舎利の入った舎利塔(中央)を守る韋駄天(左)


 仏牙舎利は、仏の歯のうち4本しかない犬歯のことで、そのうちの1本が泉涌寺に伝わっています。仏法を説いた釈迦の口元にあったため他の仏舎利よりありがたいとされています。

「泉涌寺の韋駄天像と韋駄天壁画を公開」④.jpg舎利殿の内陣の奥の空間にある「韋駄天図」の壁画

 

 また、内陣の奥の「裏堂」と呼ばれる空間には、鬼に奪われた仏牙を俊足を生かした韋駄天が取り戻す様子が壁画「韋駄天図」に描かれています。壁画は、制作された1668(寛文8)年、徳川綱吉の時代から一度も公開されたことがないそうです。高さ約3㍍、幅約9㍍で、陽光にあたらなかったため、鮮やかな色合いが保たれ、まるでつい最近描かれたようにも見えます。

「泉涌寺の舎利殿」①.jpg泉涌寺の舎利殿


 舎利殿と韋駄天立像の公開は3月17日まで。韋駄天図の壁画は、損傷を防ぐため2月28日までは実物大の写真パネルの展示のみとなります。
 泉涌寺の渡邊恭章教学部長は「韋駄天がどんな神かを知らない方も多いのでぜひ見ていただきたい」と話していました。


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