豊臣秀吉の正室、北政所(ねね)ゆかりの寺として知られる高台寺(京都市東山区)で、動いたり話したりする世界初のロボットの仏像「アンドロイド観音 マインダー」が23日、お披露目されました。
お寺離れ、仏教離れが叫ばれる中、若い人にもわかりやすく仏教の心を説き、仏教に興味を持ってもらうのがねらいだそうです。
マインダーは、約85平方メートルの教化ホールという部屋に安置され、プロジェクションマッピングによって四方の壁に映し出された多くの人々の問いかけや質問などに応える形で法話を進めます。法話中には合掌したり手を広げたり、首を左右に振るなどの動作も見られました。また、最近急増するインバウンド(外国人観光客)にも対応するため英中2カ国語の字幕も用意しました。
マインダーは、胴体部分は機械がむき出しでちょっとSF映画に出てきそうです。顔は色白で男性でも女性でもない柔和な表情で、声は女性のような人工音声です。台座も含めた高さは1・95メートル、幅と奥行きは各0・9メートルでちょっと華奢な印象です。
高台寺の後藤典生執事長が、旧知の仲の世界的なロボット研究者、石黒浩・大阪大教授に「仏さまを人間に近づけることができないか」と持ちかけて同大の協力で実現しました。
この日は、マインダーを寺に迎え入れるための開眼法要が執り行われ、その後約25分にわたって初めての法話を行いました。
テーマは仏教の代表的な教典、般若心経です。マインダーは、「こだわるものがない〝空〟(くう)の状態なら老いや死に見舞われても受け入れることができるだろう」と語りかけ、「自分へのこだわりなどないアンドロイドは現代においてお釈迦様の教えを実行できているのではないだろうか」「しかし、相手に共感する心はロボットには持ち得ない。人間であるあなたたちだけに備わる力だ」などと話しかけていました。
後藤さんは「観音さまはさまざまな姿に変身してお救いくださる。マインダーはアンドロイドに変身した観音さまです。わかりやすく平易な言葉で語りかける般若心経に耳を傾けて」と話します。秀吉とねねが見たらさぞかし驚いたでしょうね。
一般公開は3月8日~5月6日、教化ホールで。一日数回の法話が行われます。