強力なタグでトイレをテーマにしたダンス公演を行う漫画家のヤマザキマリさん(中央)とシットキングスのメンバー

漫画家のヤマザキマリさん シッキン公演を語る


 9日から始まる「s**t kingz」(シットキングス・シッキン)の新作舞台公演「Wonderful Clunkerー素晴らしきポンコツー」の最大の話題は、映画化もされた大ヒット漫画「テルマエ・ロマエ」の作者のヤマザキマリさんが脚本を手がけたことです。脚本も初めてならダンス公演に携わるのも初めてというヤマザキさんにお話をうかがいました。
 テルマエで古代ローマの風呂を扱ったことから〝水回りつながり〟で脚本を依頼されたそうです。「テーマはトイレで」というオファーを聞いたときは「これはやってみた方がいい。私の好きなとこをついてきたなと思いました」といいます。「テルマエで出し切れなかったものを出せるかも」とも考えたそうです。そして、初めてユーチューブでシッキンのダンスを見て、「なんか感じのいい4人組。すごくプロフェッショナルな感じがする」との印象を持ちました。
 漫画を描く前には、コマごとの動きなどをイメージしながら必ず先に文章を立ち上げる習慣があるので、脚本を書くことに対して抵抗はなかったそう。しかし最初、トイレの歴史から文化論に至るまですべてを詰め込んだ超大河ドラマのような話を書いて、周囲をあわてさせました。「トイレに対する思い入れをすべてはき出してしまったんです」
 その後、シッキンが踊る立場から削り落としたり、エンターテインメントとして重要なシーンを強調するなどして調整を重ねたそうです。「原石をガーンと出したら(シッキンが)削っていくという感じでしたね」といいます。

脚本を書くのもダンス公演に携わるのも初めてと話すヤマザキマリさん


 ヤマザキさんは、ミュージカル好き、サンバ好き、そしてダンサーといってもいいくらいのかなりのダンス熟練者であることが今回のインタビューで判明しました。女子校時代はミュージカルが大好きで、友人におだてられては文化祭などで「サウンドオブミュージック」の物まねを大げさに演じたりしていました。「受けるのがすごい好きだった」と振り返ります。
 母はオーケストラのビオラ奏者でしたが、子供のころからクラシックではなく、興味はブラジルやキューバなどの中南米音楽に向いていました。サンバも大好きでリオのカーニバルにもたびたび足を運ぶそうです。だから、「踊りの持つパワーは、説得力あるインパクトを与えられる。それは文章でも漫画でも映像でもない」と身をもって感じてたといいます。
 こんな愉快な経験も披露してくれました。25歳のころ、ボランティアで渡ったキューバで、滞在先ファミリーの長女がハバナ屈指のキャバレー「TROPICANA CUBA」のダンサーでした。日中はサトウキビ刈りに精を出し、夜はキャバレーに遊びに行きました。しかし、ハバナの〝ステキ男子〟に誘われても踊り方がわからないので〝壁の花〟状態です。それを見かねた長女が「あんた、何やっているの。キューバで男性の誘いを断るなんてあり得ない」と毎晩、ヤマザキさんに踊りの特訓を始めたのです。その結果、ペアダンスからステージダンスに至るまで習得し、名曲「マンボNO5」の1幕を完全に踊りきれるまで上達しました。最後には華やかな衣装で着飾り、フロアデビューを果たしました。「今もライブのときなどに踊ったりします。誰かが踊っていたら踊りますね」。ですから「(ダンスを)やってきたから書けたというのはあります」と明かしてくれました。
 ローマのトイレのシーンは出てくるのですかという問いには「私の得意分野ももちろん出てきます。そうでないと、私でなくてもいいわけで。期待してきてくれる人にやっぱりヤマザキさんだとわかってもらえないといけないですから」。シッキン×ヤマザキワールド、ますます公演が楽しみになりますね。

何をやってもダメなポンコツサラリーマンが、唯一カッコよくいられるのがトイレだった=「Wonderful Clunkerー素晴らしきポンコツ」のリハーサルから


何をやってもダメなポンコツサラリーマンは今日もことごとく足を引っ張り、同僚からは厄介者扱い=「Wonderful Clunkerー素晴らしきポンコツ」のリハーサルから


今日も公衆トイレに逃げ込んだポンコツの前に現れたのはなんとあの時代のあの国の方々だった=「Wonderful Clunkerー素晴らしきポンコツ」のリハーサルから


s**t kingzらしいダンスシーンもふんだんにあります=「Wonderful Clunkerー素晴らしきポンコツ」のリハーサルから

◆「Wonderful Clunker-素晴らしきポンコツー」は、東京都港区六本木5−11−12の「Zeppブルーシアター六本木」で、9月9日(金)~18日(日)の9公演(12日、13日、15日は休演)。問い合わせは☎03・3477・5858パルコ・ステージ・インフォメーションまで。



LATEST POSTS