ブーシュリー・グートン(Boucherie Goûtons)という名を聞けばフランス人なら誰でも「グートンさんが経営している肉屋」だと思うはず。しかしながら、今回ご紹介するブーシュリー・グートンは肉屋ではなく、徹底的に豚肉にこだわった料理を味わえるビストロです。
ビストロで豚料理といえばシャルキュトリーが浮かびます。豚肉のうまみが凝縮されたシャルキュトリーはハムやソーセージ、テリーヌなどの総称。本場フランスには数百種類のシャルキュトリーがあると言われ、フランスの伝統的な食文化を象徴する存在です。ところが、昨今はパリでさえも大量生産されたシャルキュトリーを仕入れて提供するだけのビスロトが増え、「古き良き手作りの味わいが楽しめなくなった」と嘆くグルマンが増えています。
その点、人形町のブーシュリー・グートンでおいしく楽しく味わうシャルキュトリーは、すべて郷卓也シェフが手間暇かけて仕込むものばかり。フランスの田舎町にあるミシュラン星付きのレストランや地元の人が集まるビストロで働いた経験をもつ郷シェフが仕入れるのは富士山麓の豊かな自然の中で育てられたLYB豚や満州豚など選りすぐりの素材に限られています。
この強いこだわりを持ったシェフの料理に魅了されるのは、日本橋や大手町でバリバリと仕事をこなす「肉食女子」が中心です。そうした大人の女性たちがカロリーや美容に気を配るのは当然ですが、面白いことに、ブーシュリー・グートンでシャルキュトリーを注文するほとんどの女性たちが「ほのかな甘みがある」「口の中でトロける」などと言いながら脂身まで残さず食べてしまいます。
それほどまでにおいしい豚肉をワイン片手にカジュアルに味わえるブーシュリー・グートンは、まさしく仕事を終えた後に通いたくなるようなビストロです。
満州豚のスペアリブ 赤ワイン煮込み ⓒWaki Hamatsu
ブーシュリー グートン
03-6661-1156
中央区日本橋富沢町10-15 勢州屋本店ビル 1F
http://www.eatpia.com/restaurant/Boucherie-Goutons-Ningyocho-French