illustration: Shogo Sekine

#絵文字世代の会話の壁問題《東京#CODE》

コラム

 もう外は初夏気分でいっぱい。このコラムを読んでいる令和新入社員の皆様、会社にはすっかり慣れましたか?または、新入社員を迎えた皆様、おつかれさまです。そろそろお仕事も研修モードから通常運転になってきた頃でしょうか?

 さて、最近気になっていることがあります。それはお仕事で出会う若手社員に軽い冗談や世間話が通じない、ということです。私のギャグレベルが疑われるかもしれません。いやいや、話題はそこではなくって(笑)。一方通行になって世代間で分断しがちな“会話の壁”が今回のテーマです。

 ある日のこと。打ち合わせのアポイントを取るべく、仲良しの会社へと電話を入れました。電話に出るのはもちろん新人ちゃん。

 「○○さん、ご在席ですか?この間のミーティングではありがとうございました!」とまあ、若干テンション高めに普段の会話をしていたのですが、「あ、はい、ちょっとお待ちください」と軽く私の社交辞令はスルー。

「こちらこそ、ありがとうございました」的なキャッチボールはなし。こういった電話のやりとりが他社でもよくあったので、ある日アシスタント(23歳)に「最近さー、電話で話す新人ちゃんとまったく話が噛み合わないんだよねー」とぐちをこぼしたところ、「ちょっとわかります。私たちは知らない人とほとんど電話で話したことがなくて、電話の受け答えが怖いんですよ」と。家(イエ)電に出ることがまずなく、中高生の頃からほとんど携帯電話を持っていた世代だから、知らない人からの電話が恐怖なのだそうです。携帯だったら、自分の知り合いくらいしかかけてきませんからね。

 「でもさー、なんであんなにそっけないのかなー、もっと会話のキャッチボールできないのかしらん?」と聞くと、アシちゃん「絵文字世代ですから、表情をつくったり、会話で感情を出すことが苦手なんですよ」。ふお!昭和生まれにとって感情表現は顔、会話が中心です。これは古来から動物も同じこと。コミュニケーションには、とにかく自分の感情をどう相手に伝えるのかがいちばん大切でした。しかしながら、スマホが登場し、コミュニケーションがSNS中心となった世界では、自分の感情表現は大体が絵文字やスタンプでできてしまいます。だからこそ、感情を表現するテクニックが退化しているんじゃないか、というのが彼女の仮説。にゃるほどです。

 たいていの若い子たちは、とても大人しいです。突然怒り出したり、泣き出したり、馬鹿笑いするのもあまり見かけません。電話でも淡々と、効率よし。間違いもないけど、上の世代から見るとあまりにドライで、感情が薄い若者たちに戸惑ってしまったりしてしまいます。でも、絵文字世代だと割り切れば、こちらも対処できます。あまり熱くなったり、感情を押しつけたりしても無駄。ちょっと寂しくもありますが…。

 さて、話の続きです。アシちゃん「あ、でも今の10代はまた違いますよ。彼女たちは動画世代ですから、逆に感情表現がうまくって。TikTokみたいにちょっとオーバーアクションとかできちゃうんで」。なのだそうです。

 感情表現は、昭和、平成、令和の世代でかなり言語が違うみたい。新人研修に悩んでいる皆様、ご注意遊ばせ♪
 

THIS MONTH'S CODE

#絵文字世代

 絵文字の使い方でも世代格差が出ます。最近人気の絵文字は微妙顔のコレ(上記画像)。^ ^ のような顔文字はおじさんおばさんの証拠のようです。

#動物も同じこと

 愛情、威嚇、恐怖など、顔や鳴き声で相手に感情を伝えるのは、言語をもたない動物たちの太古からのコミュニケーション手段。

#TikTok

音楽に振りをつけるだけのアプリが10代を中心に爆発的ヒット。2000年以降に生まれたジェネレーションZは確実に動画世代だ。




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