illustration: Shogo Sekine

#逆算ファッションって何?《東京#CODE》


 東京は桜も早く咲き始め、やっとやっとお出かけの季節がやってきました。ここまで長かったですね。先週末、原宿を歩いていると、久しぶりに人であふれていて、その光景を見ているだけで泣きそうです。

 「この春したいことは何ですか?」。マイナビ TGC 2022 S/Sの開催に先駆けて、公式メディア「girlswalker」が2月にアンケート調査を行いました。皆さんはどこにお出かけしますか?ショッピング?美術館?それともテーマパーク?アンケートの結果、1位は「カフェ巡り・食べ歩き」、2位「お花見・ピクニック」、3位「推し活」でした。どれもこれも、誰かとSNSで共有できる活動なのです。ショッピングは上位ではありません。そして、「洋服を購入するときに決め手となるのは?」という質問に対する答えは、1位が「自分に似合っているか」、2位「着ていく場所」、3位「デザインやトレンド」という結果で、もはや「流行」よりも、「似合っているか?」や「何をするのか?」が服を選ぶときに大切なようです。

 このアンケート結果からも、今期のトレンドとして見えてくるのが“逆算ファッション”。これは、目的や誰とどこに行くのかが重要であり、ファッションにおいて優先されるのは流行よりもTPOだということ。自分に照らしても、やっぱりそうです。家を出る前に考えるのは、「その日の正解服」。そういう意味でも、ファッションはコミュニケーションの手段なのだなと思うのです。

 そんな女子たちのお出かけ先は、カフェ巡りや食べ歩きです。最近、表参道に長い行列ができているな、と思ったらパン屋さんでした。数百円の明太ペペロンチーノバゲットのために1時間並ぶのはすごい忍耐力ですが、ワクワク待っているその体験こそが価値。情報収集もインスタやTikTokが中心です。ハッシュタグや評価を細かくチェックして、行列しても手に入れたいと思う。これも最近の傾向ですね。

 その理由をある20代の女性に聞いたら、「だって、失敗したくないじゃないですか」と。バイト代も厳しいこのごろ。みんなシビアで、失敗することに敏感です。以前このコラムでも取り上げたカラー診断や骨格診断もいまだに人気です。「私はイエベのストレートだからこの服は似合わない」とかね。「似合うかどうか?」の評価を客観的に診断することを優先する。衝動的に服を買ってしまって失敗することを怖がる傾向が強まっているようです。みんな堅実なんですよね。コロナの影響で外出が制限されて、オンラインショッピングが当たり前になったからかもしれません。でもね、せっかくお出かけ解禁な気分の春ですから、新しいものとの出会いも楽しんで欲しいところです。

 ラフォーレ原宿に4月28日にオープンする「愛と狂気のマーケット」は、「“おもしろい”才能の出会い系」と題して、ゼロからイチをつくり出すクリエイターが出品するマーケットです。まだSNSだけでしか発見できないような未知の才能が集まる場所。じつはこのプロデュースを私が担当しております(てへ)。いつの間にか知っている店ばかりが集まる街になってしまった原宿に、新しいエネルギーが出会う、原点回帰するような場所をつくり出します。今度のGWは、そんなワクワクを探しにお出かけしませんか?

THIS MONTH'S CODE

#パン屋

福岡発の人気のパン屋さん「AMAM DACOTAN(アマム ダコタン)」。アンティークの家具やシックな内装も人気の理由。

#イエベのストレート

肌色診断でイエローベース、骨格診断でストレート体型、の略。

#愛と狂気のマーケット

ラフォーレ原宿のB0.5Fにオープンするクリエイター集積系のショップ。月額約2万円から出品できることも話題に(審査はあり)。






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