まぶしいような、懐かしいような、キラキラしたその光景。懐かしいこの感覚。なんのことやら、とお思いでしょう。昨年末、ちょっとだけコロナが落ち着いた頃、銀座の「RAISE」という新しい大箱のクラブを訪れたときのお話です。
この原稿を書いている現在、オミクロン株の拡大で、東京都にも再びまん延防止等重点措置が適用され、あの昨年のことも遠い過去みたいです。さて、昨年末の週末の銀座・数寄屋橋交差点に長くできた行列。「これって待ち時間どのくらいですか?」とスタッフの方に聞くと、「だいたい2時間くらいですかね」(!)と。並んでいるのはサラリーマン風の20〜30代の男女たち。以前コリドー街にいたような人たちです。マスクをして楽しそうです。知人と顔を見合わせ、「長かったよね。このキラキラ!」と1階のレセプションへ。ドレスコードもあり、屈強なセキュリティの出迎えすらうれしく、はしゃぎながらエレベーターに乗って店内へ。
東急プラザ銀座の6階、未来感あるネオンのエントランスの先に、ドーンと約27メートルもの吹き抜けがあります。そのエントランスをくぐると、そこは別世界。店内に鳴り響くDJの音 。ポールダンサーたちが踊る店内に歓声が上がります。
手前にはハイテーブルやシートがあります。その奥にはVIP& VVIPのシートが。料金は時季によっても変わるそうです。このときはクリスマスシーズンということもあって、特別なエリアは一席ウン十万円超えとか!? ひえー!一部には専用のお立ち台まであるという演出。テーブルには飲み終わったシャンパンを積み上げていくという仕組みも、まるでモナコやLAのかなりハイエンドなクラブみたいです。
そして、本番はここから。案内された奥には「BLACK BAR」と呼ばれる会員専用のエリアがあります。その壁には、1日あたりで使われた金額がランキングされるボードが。なんと、その最高額は1000万円強!!
一晩です。ひょえー。奥にはシャンパンが並ぶドンペリルームがあったり、ワインセラーにはアルマンドの見たこともない巨大マグナムボトルまであったり。
コロナ不況と言われる反面、世界では異常なまでの株高が続いております。とくに昨年は世界的な株高で、世界の株式時価総額の年間増加額は約18兆ドル(約2000兆円)と過去最大なのだそうです。最近では起業や仮想通貨やYouTubeで稼ぐ新しい富裕層が生まれています。表参道のブランドショップには行列ができ、高額な現代アートが売れているのも若い人たちの市場なのです。
一方ではコロナの煽りで職を失ったり、バイトが続けられず困窮している学生もいます。両極端の世界が共存する、まさに分断化した社会ですね。この先オミクロン株の影響がどうなるか、まだ予断は許されないのですが、少なくとも自粛に飽き飽きした人たちがうごめいている。これがいまの東京。まずはお金を回すことも必要ですが、今後ますますこの格差が広がっていくのでしょうか。Withコロナなのか、世の中が落ち着いて外出が普通にできるようになればいいな、と思いながら。私たちにとってハッピーな、グレートリカバリーの世界に向かっていけますように。これからの世界の行く末が気になります。
THIS MONTH'S CODE
#銀座の「RAISE」
東急プラザ銀座に、2021年11月にオープンした大型ナイトクラブ。サンダル、ジャージ、スウェットなどはNGというドレスコードがあるようなので要注意!詳しくは公式サイトで確認を。
#世界的な株高
2021年12月30日付の日本経済新聞の記事で報じられた。
#新しい富裕層
『WWD JAPAN』でも特集が組まれた若い富裕層は、その購買行動も以前の富裕層とは違います。ブランドだけでなく、特別な「体験」を求めるのが特徴かも。