illustration: Shogo Sekine

#もう、あの頃には 戻らない《東京#CODE》


 皆様、あけましておめでとうございます。2022年!なかなか収束しないコロナ禍も、もう丸2年ですね。この原稿を書いている12月初旬は変異株のオミクロン株の恐怖がじわじわきています。年末は海外に、と言っていた友人も計画は延期に。世界がコロナという見えない敵を克服するのは、もう少し時間がかかりそうです。

 そんな昨年末は、ちょっとずつ会食やプチ忘年会のお誘いも増え、社会の空気がゆるみ始めていました。週末のデパートにはおしゃれをした人たちがあふれて、手にはショッピングバッグ、「お買い物ってこんなに楽しかったんだあぁ」と再確認。そんななか、友人と夕食をしたときのこと。「このコロナ禍ですっかりお酒弱くなっちゃったー」と彼女がポツリ。久しぶりのサシ飲みでしたが、女酒豪と呼ばれていた彼女。「自宅でリモートワークしているとさあ、お酒飲まないクセができちゃって」。わかるー。私ももはやワイン一杯でいい気分。「あとさ、二次会ってなんだったんだろうね(笑)」。そうそう、夕方6時にはごはんを食べ始めて、遅くても9時には解散。そのとき、手元のiPhoneには「For You」機能の写真が出てきました。2年前、大勢でシャンパングラスで乾杯している弾けた場面です。「いやぁ、こういうの、遠い過去」と彼女が笑います。「ね。あの頃には戻らない、って感じね」。

 そう、テレビのなかで経済学者は“リベンジ消費”とか、“V字回復”、“グレートリカバリー”なんて話しているけど、あなたにもありませんか? 「あの頃には戻らない」感覚。私個人の話ですと、外食に行かなくなった/できるだけ自炊にしたい/お酒はちょっとだけ/カラオケが苦手になった/できるだけ散歩する/衝動買いをやめる/ハイヒールを履かなくなった/パーティが苦手になった/ラジオやPodcastを聞くようになった/高いブランドバッグより、いまはお気に入りの絵が欲しい/朝ごはんをちゃんと食べる/夜更かしができなくなった/タクシーに乗るのを減らした/洗剤をオーガニックに変えた…などなどです。

 仕事、仕事、遊び、仕事な日々で忙しいなかでも充実していた2019年までの自分と、スローダウンして新しい生活様式に慣れた2022年を迎えるいまの自分とのギャップに驚きます。コロナという悪夢によって、私たちの生活は一変しました。もちろん仕事を失った方や、学校に行けなくなった人、コロナに感染した人など、マイナスな面もたくさんあるけど、このタイミングで自分の生活を一変させたのもコロナの影響なのです。

 サステナビリティという言葉をより強く意識したのも、このコロナ禍で立ち止まれたからだと思います。衝動買いをやめて、新しく買うときは素材やつくられ方まで吟味するようになったり、野菜もちょっとでも美味しい産直のものを選んだり、我ながら変わったなぁ。

 あるニュースでは「なかなかリベンジ消費が進まない」と伝えていました。こんな不測なことがいとも簡単に起こると思い知らされた私たちは、以前のようにお気楽にはお金を使えなくなりました。もっと将来につながる「未来のお金」にしたい。だから私の周りでは、スマホで資産運用する友人も増えています。世界がガラリと変わった2022年。変化は楽しむためにある、そう思える年にしましょう!

THIS MONTH'S CODE

#「For You」機能の写真

iPhoneのアルゴリズムの謎。きっと人の気持ちが読めるんだろう…と思えるような写真のセレクトで、ときどき心をぐさりと刺してくる。

#グレートリカバリー

2021年初めのNHK「ズームバック×オチアイ」でも語られたテーマ。ここでいうリカバリーとは、ダボス会議で語られた「グレート・リセット」に近く、社会を変える仕組みの変化を意味している。

#Podcast

インターネット上で音声などを公開、配信するサービス。視覚メディアより、ラジオやVoicyなどの聴覚メディアのほうが、話題になることが増えてきた。






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