illustration: Shogo Sekine

消費から心の投資へ?#アートを買いに《東京#CODE》


 皆さんは最近ときめくお買い物をしましたか?夏ワンピ?ブランドバッグ?やっぱり貯金?円安&物価高でショッピング気分じゃないかもですが、周囲を見ているとお金の使い道が変わってきたように思います。私自身、服を買う頻度が減り、その代わりにちょこちょこアートを買うようになりました。ブランドバッグより、アート。そんな自分の変化に驚いています。

 このところアートイベントにお邪魔することも増えました。5月に恵比寿ガーデンプレイスで開催された「MEET YOUR ART FESTIVAL 2022 New Soil’」では新進気鋭のアーティストの作品が出品され、オープンイベントの間もひっきりなしに売れていきます。1点の価値が数千万円を超える人気作家がいる一方で、数万円から買える若手アーティストの作品も出品。会場に来ている人たちも若く、おしゃれなZ世代の人たちが、服を買うような感覚でアートを購入しているのです。また、5月まで森美術館で開催されていた「Chim↑Pom展」でも来場者の多くがZ世代のようです。若い世代の中でアートへの関心が高まっています。

 続けて、人生で初めてアートオークションに行ってきました。オークションというと、SATCのシーンが浮かびます。NYクリスティーズのセレブな世界を想像してドキドキしていたけど、今回の開催場所は買い物にも出かける代官山のヒルサイドテラス。事前登録すれば誰でも入場可能です(オークションに参加するときは事前に審査などがあります)。中央に鎮座するオークショニア(オークションの仕切り人)が作品名と最低入札価格を読み上げて、競りがスタート!オークションには会場にいる人だけでなく、電話参加や海外からの参加もあるので価格はみるみるうちに上がっていきます。秒刻みで数百万円から数千万円に競り上がっていく様子は見ているだけでハラハラ、ドキドキ。価格が落ち着いて「これ以上はございませんか?」とオークショニアが声をかけ、チン!とベルが鳴って落札。熱いバトルが繰り広げられていました。

 アートが売れる背景にはもちろん投資目的もあります。ZOZO創業者の前澤さんが先日売りに出したバスキア作品の値段が話題になりましたが、世界的にアートブームはとどまるところを知りません。このブームを見ていると、お金の使い方が「消費」から「投資」に移行しているのだなあ、と思います。スニーカー市場がどんどんヒートアップしてコラボスニーカーの発売日に行列ができるのも、こういった投資的なリセール市場が活発になっているからです。

 そういった金銭的な意味とは別に、アートが売れるのには別の理由もあると思っています。私も今年になって3枚の絵を購入しました。理由は、その絵が私の心をつかんだからです。大量生産されている物たちには感じないときめき。アートとの出会いは一期一会です。1枚の絵は何もなかった壁を埋めてくれるだけでなく、心の空白も満たしてくれる。日々を彩る存在。

 投資目的だけじゃない、人々が物質を超えた出会いを求め始めている。最近のアートブームは、そういう意味で心への「投資」なのだと思うのです。次の週末はアートを買いに行きませんか? コロナで失っていた心の隙間を埋めてくれる、そんな1枚に出会えるかもしれません。

THIS MONTH'S CODE

#MEET YOUR ART

エイベックス系列の会社が運営している「アートと出会う」をコンセプトにしたアート専門メディアのプラットフォーム。

#アートオークション

今回お邪魔したのは「SBI アートオークション」。日本発のアートオークションを開催している。

#SATCのシーン

映画『SEX AND THE CITY』の冒頭でオークションに出かけたサマンサ。お目当てのダイヤのリングをほかの人に落とされ気落ちしていたら、じつはその落札した相手は自分の恋人で、彼がその指輪をプレゼントしてくれた、というお話。






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