illustration: Shogo Sekine

#口紅つけるだけで勇気が出ます《東京#CODE》


 脱マスク。すっかりファッション業界も音楽業界も、演劇界もコロナ前の「普段通り」の自由な社会が戻ってきました。最初は恐る恐るマスクをとっていた人もいたと思いますが、イベント会場を見渡すとマスクなしの姿がちょっとずつ当たり前になってきたようです。

 電車やバスなど、まだまだマスクを着用しておきたい場面もあるけど、マスクあり、なしを個人の自由で選べるようになっただけで、スッと体が軽くなるようです。なにより空気がおいしい!桜や沈丁花など、花々の香りを思いっきり胸に吸い込んで、この自由をかみしめています。

 そんなとき、あるイベントで出会った女子からこんな言葉を聞きました。「すっかりマスク生活で口紅をつけることを忘れていたけど、この春の新色を買いに出かけたんです。そのカウンターで口紅をつけてみたら、なんだか元気が出てきて。この感覚、忘れていました」。そう、女性にとって脱マスクは、イコール口紅解禁でもあります。実際、今年に入ってやっと口紅の売り上げがグッと伸びています。デパートもメイクコーナーは人であふれて、みんな楽しそうです。私自身もすっかり口紅をつけることを忘れていました。コロナ禍の間は化粧ポーチにすら入れてなかったかも。Zoom会議でならば、バーチャルメイクもできちゃうので、口紅をつけていなくても、つけているように画面には映る。それでさらにリップをしないクセがついたり。

 でも、久々にブランドのパーティーへ行くとき、鏡の前でモーブカラーの口紅を塗ったら、なんだか顔が数倍明るく見えたのです(ちょっと大袈裟か?w)。男性にとってのネクタイなのでしょうか。女性にとっての口紅は、思った以上に気分を「シャキッ!」としてくれる小道具。それまでマスクでズル(?)していたこともあって、口紅の心理的効果について、実感するこのごろです。

 パート2が公開され、多くの国で驚きの視聴時間を記録しているNetflixの韓流ドラマ「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」。その中で、主人公の女性が、夫からDV被害に遭っている女性に口紅を贈るシーンがあります。夫の暴力に耐えきれず、化粧も忘れ髪も手入れしなかった女性が、 ある日から口紅をすることで、 周りから褒められ、自信を取り戻し、笑顔になるという展開。一本の口紅で表現される、「自信」を取り戻すことの大切さ。

 このところ、ジェンダーレスな男子も積極的にリップをつけています。ちょっとしたコンシーラーやファンデ、リップは当たり前。ニキビ跡を隠したり、クマを目立たなくしたり、唇の色を明るくしたり。コンプレックスを隠してくれる道具として、誰にとってもこういったメイクアイテムはとても有効なのだと思います。見た目重視、という意味ではなく、コンプレックスを解消して自分に自信が持てること。それもメイクの魔法です。

 私の大好きなシンガー、野宮真貴さんの『赤い口紅があればいい』という本があります。一生おしゃれに生きていくためのヒントが詰まったこの本。赤い口紅は、たくさんの女性にとって自信を取り戻す象徴のような存在。シルバーヘアになっても、キリッとした口紅をつけている女性は、笑顔が素敵だなと思うのです。

 さてさて、今年はどんな色のリップを買いましょうか?

THIS MONTH'S CODE

#口紅の売り上げがグッと伸びて

「ジェイアール名古屋タカシマヤ」では、今年2月の口紅の売り上げが前年比142%だったとか。「コロナで売れなくなったもの」と言われた口紅が面目躍如を果たした。

#「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」

高校時代、壮絶ないじめにあった主人公が繰り広げる復讐劇。ハマります。

#野宮真貴さんの『赤い口紅があればいい』という本

ピチカート・ファイヴの3代目ボーカルからソロになって、ますます素敵な野宮さん。年齢を超えたおしゃれの極意がこの一冊に。






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