ジャズやストリートなどさまざまなダンススタイルを融合し、ダークな世界観で独創的な作品を次々に生み出してきた〝異形〟のダンスカンパニー「DAZZLE」(ダズル)が結成から21年を迎えた今年、新たなステージに挑みます。それは「イマーシブシアター」。体験型公演です。
昨年の結成20周年記念公演「鱗人輪舞」(リンド・ロンド)から。ダークな世界が持ち味のDAZZLEのステージ(写真・田中幸美)
一般的な公演は、観客は決まった座席に座ってステージ上の演者を鑑賞するのが普通ですが、そうした常識を完全に打ち破りました。観客は席には座らず、自らの意思と足で会場内を自由に移動しながら、さまざまな場所で繰り広げられるパフォーマンスを「体感する」いわゆる体験型ダンス作品になるそうです。手を伸ばせば届きそうなところで行われるパフォーマンス、演者の息づかいなども感じることができるかもしれませんね。
昨年の結成20周年記念公演「鱗人輪舞」(リンドロンド)では、2通りの結末から観客の投票で選ぶという「マルチエンディング」方式を採用しました。今回はさらに踏み込んだ観客参加型を見せてくれます(写真・田中幸美)
ですから今回の公演は劇場では行われません。建物1棟全てを舞台とする作品で、観客は作品を形成する世界の一部として参加します。実際の場所はシークレットで、会場との契約上、チケット購入後に住所を知らせる方式を採るそうです。場所は、新宿にほど近い東京都渋谷区とまでは明かされています。
「Touch the Dark」をイメージしています ©飯野高拓(梅棒ダンサー)
また、1回の公演につき観客数を最大55人に絞り込むことによって、濃厚かつぜいたくな体験を可能にしました。
ではどんなストーリーなのでしょうか? 公演のタイトルは「Touch the Dark」(闇に触れる)です。現在、鋭意制作中ということですが、少しでも彼らの作り上げる世界観に触れるには以下の「Introduction」に文言にヒントがありそうです。
《Introduction》
その病院は、
おかしなところが何もなかった。
入っていった者より、
出て来た者の数が少ない?
病院は人生の終着駅になることもある。
患者の死に抗う、誠実な院長がいた。
あらゆる治療を施し、
命を守るためには手段を選ばなかった。
必ず助ける。
仮に肉体が温もりを失ったとしても、
彼は決してあきらめなかった。
まだ、救う方法があるはずだ。
彼女が目を覚ますための、方法が。
このように、この病院には、
おかしなところは何もない。
さあ、安心して、ご来院を。
◆イマーシブシアター「Touch the Dark」は、8月25日(金)〜9月3日(日)の全31公演。場所は新宿に近い東京都渋谷区内。
チケット予約は、29日(土)午前11時から、公演特設サイトで発売。http://www.touchthedark.jp/